住宅設計・間取り/住宅設計・間取りのテクニック

ことばの意味から間取りを考える(2ページ目)

建築の用語の中には動植物に関することばや仏教からきたことばなど様々あります。鴨居や敷居、欄間、玄関・・・どの言葉にも意味や由来があるのです。今回は言葉から間取り考えていきましょう。

佐川 旭

執筆者:佐川 旭

家を建てるガイド


坐る、座るの意味を考えてみる

かつて囲炉裏を囲んで食事をしていた頃の住まいは、父親の坐る場所が決まっていました。その後畳が主流になり、畳に坐って利用できるちゃぶ台が登場してきます。折りたたみ式のちゃぶ台からダイニングテーブルのスタイルに変わってきたのが1970年代で、坐る(ちゃぶ台)は座る(ダイニングテーブル)になったのです。广(まだれへん)はまるで椅子の形を現わしているようにも見えます。食卓を囲むテーブルは形や高さ、すわる(坐る,座る)位置が違うだけで家族のコミュニケーションのあり方も変わってきます。

1.どこに置くか
2.どのような形にするか
3.座席をどうするのか
4.テーブルの高さはどうするのか


といった面で変わるのです。一般的には長方形のテーブルで食事をすることが多いと思いますが、長方形のテーブルの場合は、短辺に座ると全員の顔を見渡しやすい点でやや特権的な上座の雰囲気になるものです。欧米などでは家長がこの座につきその対面に主婦がつくことが多いようです。

住まいの中で一番重要なことは、言うまでもなく団らんの場をどうつくるのかです。団らんは和やかな楽しい時間を過ごすことと、父母が手に入れた人生の大切な言葉を子どもに伝える場でもあると私は考えています。
かつて父親の坐る場所が決まっていたのはそのためです。

坐る(囲炉裏)

坐る(囲炉裏)


座る(ダイニング)

座る(ダイニング)


ガイド佐川のワンポイントアドバイス

赤ちゃんはことばで自分の気持ちを伝えることができないため、泣くことで伝えようとします。人はことばで感情を意のままに伝えることができると、涙という身体言語を使う必要がありません。建築もまたイメージを上手く伝えられると、満足した家ができるのですが、うまく伝えられないとこんなイメージではなかった、ということになります。その際単にイメージばかりではなく、建築用語の意味やその部屋のはたす役割なども話すうちに、この人はこんな考え方を持っているのかという共通した認識が得られます。そうすることでひとつのイメージではなく、たくさんのイメージが湧いてくる様な気がします。
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