坐る、座るの意味を考えてみる
かつて囲炉裏を囲んで食事をしていた頃の住まいは、父親の坐る場所が決まっていました。その後畳が主流になり、畳に坐って利用できるちゃぶ台が登場してきます。折りたたみ式のちゃぶ台からダイニングテーブルのスタイルに変わってきたのが1970年代で、坐る(ちゃぶ台)は座る(ダイニングテーブル)になったのです。广(まだれへん)はまるで椅子の形を現わしているようにも見えます。食卓を囲むテーブルは形や高さ、すわる(坐る,座る)位置が違うだけで家族のコミュニケーションのあり方も変わってきます。1.どこに置くか
2.どのような形にするか
3.座席をどうするのか
4.テーブルの高さはどうするのか
といった面で変わるのです。一般的には長方形のテーブルで食事をすることが多いと思いますが、長方形のテーブルの場合は、短辺に座ると全員の顔を見渡しやすい点でやや特権的な上座の雰囲気になるものです。欧米などでは家長がこの座につきその対面に主婦がつくことが多いようです。
住まいの中で一番重要なことは、言うまでもなく団らんの場をどうつくるのかです。団らんは和やかな楽しい時間を過ごすことと、父母が手に入れた人生の大切な言葉を子どもに伝える場でもあると私は考えています。
かつて父親の坐る場所が決まっていたのはそのためです。
坐る(囲炉裏)
座る(ダイニング)