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『キッズ・リターン 再会の時』と屈折青春映画11選(5ページ目)

北野武監督の青春映画『Kids Return キッズ・リターン』のマサルとシンジのその後を描いた『キッズ・リターン 再会の時』。この苦み走った青春映画をトップにすえて、洋画と邦画の屈折した青春映画をピックアップ。けっこうあって驚きましたよ~。では、青春のダークサイドを覗いてみましょう!

斎藤 香

執筆者:斎藤 香

映画ガイド

そのほかの挫折と苦悩の青春映画


『青の炎』(2003年度作品)
貴志祐介の同名原作を映画化。離婚した母の再婚相手が再び現れ、家に居座り、暴力を振るい始めたことから、17歳の長男(二宮和也)が完全犯罪を企む青春ミステリー。

暴力的な男に恐怖する家族、自分が殺さなければ!と決意をかためる主人公。青春真っただ中のセブンティーンなのに青春を謳歌できず、犯罪計画と犯罪そのものが青春の1ページになってしまうことが悲しい。

監督・脚本: 蜷川幸雄
出演: 二宮和也、松浦亜弥、鈴木杏、秋吉久美子、中村梅雀、山本寛斎ほか


『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』(2009年度作品)


施設で育ったケンタ(松田翔太)とジュン(高良健吾)がナンパしたカヨちゃん(安藤サクラ)と一緒に、ケンタの兄に会うために網走へと向かうロードムービー。社会の落ちこぼれの3人が、底辺でもがきながら生きる姿は生命力に溢れつつもどこかいびつ。でも軌道修正してくれる人もいず、ガムシャラにその場しのぎで生きてゆく二人の青春は、まさに苦いことの連続で、絶望していく姿が胸に痛い。抜け道はなかったのか、前を向けなかったのかと映画を見終わった後も様々な思いが脳裏をよぎる青春映画です。

監督: 大森立嗣
出演: 松田翔太、高良健吾、安藤サクラ、宮崎将、柄本佑、洞口依子、多部未華子、美保純、山本政志ほか


『ヴァージン・スーサイズ』(1999年度作品)

美しいリスボン家の5人姉妹はなぜ自殺したのか……。彼女たちに夢中の男子の視点で語られるリスボン家の美少女たちの青春の日々。それは厳格な両親によるかごの鳥のような生活だった……。

浮世離れした姉妹と現実にいかにもいそうな少年たちの交流がやがて大きなトラブルに発展していってしまう様を美しい映像で綴っていきます。ソフィア・コッポラ監督のガーリー伝説の始まりともいうべき映画。彼女が演出するとシビアな物語も美しく彩られ、風変りな青春映画になるから不思議。

監督: ソフィア・コッポラ
出演: キルステン・ダンスト、ジェームズ・ウッズ、キャスリーン・ターナー、ジョナサン・タッカー、ジョシュ・ハートネット、A・J・クックほか

ほか日本映画では『blue』『カナリア』『桐島、部活やめるってよ』もあり、外国映画では『スタンド・バイ・ミー』『17歳のカルテ』『ヘザース/ベロニカの熱い日』などもありますね! 今回紹介した映画は、登場人物がモンモンと悩んだり、絶望したり、何もかもイヤ!と暴れたりする全然爽やかじゃない青春映画だけど、キラキラまぶしい青春って、もはやフィクション。映画やドラマの中だけなのかも……とも思ったりして。屈折した青春映画の中にこそ、リアルな十代の本音が潜んでいるのかもしれませんね。

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