『キッズ・リターン 再会の時』と屈折青春映画11選(4ページ目)

死と背中合わせの青春

『エレファント』（2003年度作品）


アメリカの高校の日常の風景。買い物やダイエットを語る女子、先生から居残りを命じられた男子、彼氏と待ち合わせをする女子……そんな中、内向的な男子二人がネットで購入した銃器を手に学校へ向かう……。

1999年に米コロラド州コロンバイン高校で起こった銃乱射事件をベースにした社会派青春映画。犯罪というのはこうやって平和な時間を突然切り裂いてしまうものなのだというのがよくわかり怖い。美しく青い空、のどかな時間が一瞬にして殺戮の場になってしまう、みんなの青春が一瞬にして切り刻まれてしまうのです。

簡単に手に入れられる銃が起こした悲劇は残酷だけれど、この映画はアメリカ社会への警報なのでしょう。カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作。

監督： ガス・ヴァン・サント
出演： ジョン・ロビンソン、アレックス・フロスト、エリック・デューレン、イライアス・マッコネル、ジョーダン・テイラー、ティモシー・ボトムズほか


『ヒミズ』（2011年度作品）


15歳の住田(染谷将太)と彼に恋する同級生の茶沢(二階堂ふみ)が、問題をかかえた家族や大人たちと渡り合って厳しい現実を乗り越えていこうとする物語。

平凡な大人になりたいという住田だけど、その彼を取り巻くのは最悪の家庭環境。ゆえに彼にとって平凡が最高の幸福という、そこが辛い。完全に歪んでしまった住田を現実に引き戻してくれるのが、彼に恋する茶沢。住田の人生のバランスを維持してくれるのが彼女であり、また同じく家庭に問題を抱えた茶沢を支えられるのが住田なのです。

茶沢が叫ぶ「がんばれ住田」が印象的。頑張れと言う言葉がこれほど胸に迫る映画は他にない！泣けます。

監督： 園子温
出演： 染谷将太、二階堂ふみ、渡辺哲、諏訪太朗、川屋せっちん、吹越満、神楽坂恵、 光石研、渡辺真起子、モト冬樹、黒沢あすか、堀部圭亮、でんでん、村上淳、窪塚洋介、吉高由里子、西島隆弘、鈴木杏、手塚とおるほか


※最後のページでは洋画邦画取り混ぜて苦い青春をお届け！