出産・育児費用/出産後の収入減に備える

出産後の収入減には公的給付で備える!

待ちに待った出産!出産後、一般的にはママの収入は減少します。そこで強い味方となるのが公的給付。専業主婦、会社員ママ、自営業のママ、という3つのパターンに分けて解説します。

拝野 洋子

執筆者:拝野 洋子

ファイナンシャルプランナー・社会保険労務士 / 年金・社会保障ガイド

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出産後の収入減には公的給付が強い味方に

待ちに待った出産。うれしいことですが、出産や育児にはお金がかかることは周知の事実です。なおかつ、産前にママが働いていたとしたら、出産後に世帯収入は減少するでしょう。一度も働いたことのない専業主婦(生涯収入約1500万円)と、38年間正社員だった人とは、生涯収入(公的給付を含む)が10倍違うという試算があります。出産後7年休んでその後23年間パートでも、専業主婦とは6倍ほど、23年間正社員なら9倍違うというデータも。

そんな、出産に関わる収入減に対して心強い味方となるのが、さまざまな公的給付。出産育児一時金や児童手当は、親の職業などに関わらず、手続きをすれば支給されます。

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出産育児はお金もかかる。


ただし、上記以外の公的給付は、出産時のママの職業、そして出産後の選択肢により、もらえるかどうかが異なります。次の3つのパターンに分けて、どんな公的給付がもらえ、どういう手続きをすればよいのかを解説します。

  1. ママが専業主婦
  2. 会社員ママ
    ・出産後も育児休業を取得して働き続ける場合
    ・出産を機に退職する場合
  3. 自営業ママ

出産育児一時金は健康保険に入っていればもらえる

健康保険・国民健康保険に入っていれば、原則、親の社会的立場に関わらず、出産後は出産育児一時金もしくは家族出産育児一時金が42万円(うち1万6000円は産科医療補償制度の保険料)支給されます。出産した病院が出産育児一時金の「直接支払制度」または「受取代理制度」に加入しているなら、退院時に支払う出産費用は、出産育児一時金との差額だけで済みます。出産費貸付制度もあるので、必要な場合は活用しましょう。

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児童手当は子どもが生まれたらすぐに申請を

出産後は速やかに出生届とともに児童手当の手続きをしましょう。出産育児一時金と同じく、親の社会的立場に関わらず支給されます。児童手当の支給額は次の通りです。
  • 3歳未満:月1万5,000円
  • 3歳以上小学校修了前
    ・第1子・第2子:月1万円
    ・第3子以降:月1万5,000円
  • 中学生:月1万円
  • 所得制限による特例給付 月5000円

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乳児医療証の申請も忘れずに

多くの自治体で0歳から医療費補助を行っています。出生届とともに乳児医療証の手続きも行いましょう。

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パターン1:ママが専業主婦

受け取れる公的給付は比較的少ないです。雇用保険に一定年数加入していれば(パートも可)、ブラッシュアップを目的に、教育訓練給付を受けることも可能です。教育訓練給付は原則、会社を退職後1年以内に指定講座を受けたときに支給されます。

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雇用保険に加入していた人は、退職後はハローワークで失業等給付の手続きと受給期間の延長手続きをしましょう。妊娠出産は正当理由になるので、会社の退職日後最長4年以内の間なら、失業手当や教育訓練給付等を受けることができます。

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育児期間中の失業等手当は延長できる

パターン2:会社員ママ

社会保険に加入している会社員が出産する場合、どんな公的給付がもらえるのかを確認しましょう。次の2つのケースで異なります。

ママが出産後、育児のために退職
失業等給付を受ける期間を延長できるので、退職後は必ず現住所管轄のハローワークへ。会社の退職日後最長4年以内の間なら失業手当や教育訓練給付等を受給できます。再就職に備えて資格取得をめざしてもいいですね。職場で健康保険に入っているなら、出産手当金(最大で産前42日産後56日間支給)が、退職時に支給を受けていれば退職後も残りが支給されます。職場で入っているのが国民健康保険の場合、残念ながら出産手当金は支給されません。

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出産後も職場復帰して働き続ける
出産後、育児休業を取り復帰した場合も、要件を満たしていれば教育訓練給付を受けることができます。育児休業中に教育訓練給付を利用して資格取得、復帰後仕事に生かすことも可能です。

職場で健康保険に入っていれば、出産手当金(産前42日産後56日間)が支給され、産後休業後も子どもが原則1歳まで雇用保険から育児休業給付金が支給されます。出産後は速やかに育児休業の申し出をしましょう。育児休業給付金の手続きは通常会社で行います。両親がともに(例えば交代で)育児休業をとる場合は子どもが1歳2カ月まで、認可保育所に空きがないとき等は最長2歳まで、育児休業給付金が延長されます(1歳6か月で再度申し出、2歳で再々度申し出が必要)。

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パターン3:ママが自営業

公的給付が比較的少ないパターンです。自営業者やその妻、同居の子ども(ともに家業に従事している場合)は一般的に雇用保険には入りませんので、失業等給付や教育訓練給付は支給されません。経営している事業で健康保険・厚生年金(業種や人数によって任意)に加入していて、ママも健保に入る働き方をしていれば、出産手当金は支給されますが、出産後仕事を続けても残念ながら育児休業給付金(雇用保険の給付)は支給されません。

ただし、国民年金加入者のプレママには朗報があります。平成31年4月から、産前42日産後59日間の産休中の国民年金保険料が免除になり、免除期間中は満額の老齢基礎年金が保障されます。仕事で子どもを預けることになった場合、預ける費用は仕事上の必要経費に計上できるような仕組みも今後できるといいですね。

出産後もなるべく仕事を続けたほうが得策

以上のように、会社員のママが出産すると、専業主婦や自営業の場合より、公的給付が多く支給されるといえます。社会保険に加入する形での会社員(パートも要件満たせば加入可)を極力続けたいものです。必要な支給申請手続きや会社への申し出は漏れのないようにしましょう。家庭でもママ一人で家事や育児を抱え込むのではなく、パパの協力が必要なことは言うまでもありません。

また、子育て中、世帯収入やパパとママの時間が限られてくる中で、家計のやりくりも必要になるでしょう。公的給付やお祝い金等をどう活用するかが、出産後の収入減に備える最大の術です。家計の状況にもよりますが、公的給付やお祝い金等を生活費やお祝い返しなどで全て使い切らず、せめて何割か貯金しておくと、ゆくゆく子どもに学費がかかる頃の助けになると思います。

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