「削れない支出」と「削れる支出」がある

「今の収入では貯蓄なんてできない」と思っていませんか……

「今の収入では貯蓄なんてできない」と思っていませんか……

貯蓄額は必ずしも収入に比例しない。これは、実際のマネー相談で多くの家計を間近に見た、率直な感想です。年収が1000万円近くあってもほとんど貯蓄がない世帯もあれば、年収300万円台でも年間100万円超も貯蓄している世帯もあるのです。

過去に私が取材した、神奈川県在住の田中美奈代さん(仮名・28歳)は、2歳と0歳のお子さんがいる専業主婦でした。会社員のご主人(29歳)の年収は手取りで329万4000円(うちボーナス87万円)。他に子ども手当(現・児童手当)が2万6000円ありました。

実は、田中さんはこの当時、3年後を目標にマイホーム購入を希望。それを実現するため、以下の貯蓄目標を立てていました。(1)毎月の給与から3万円。(2)子ども手当は全額。(3)ボーナスからは年間50万円。結果、すべてをクリアし、年間貯蓄額は117万2000円に達したというわけです。

この貯蓄のために、田中さんがどう家計管理をしていたのか、その中身を見てみましょう(表参照)。まず、給与20万円2000円(手取り)に対して、生活費は17万2000円に抑えています。家賃6万3000円に、お子さんが小さいためクルマも所有、しかも奨学金1万4000円を毎月返済。これだけで、給与の約半分がなくなります。しかし、これは田中家にとって、優先順位の高い「削れない支出」。そして、これを明確にすることで、逆に家計管理はしやすくなるのです。

■田中さん(仮名)のマネーデータ
家計支出全体にムダがないのが数値からもわかります

家計支出全体にムダがないのが数値からもわかります


 

高いモチベーションが貯蓄体質へと後押しする

どの家計でも、削れない支出があれば、削れる支出があるはず。食費3万円は、どんな世帯でも創意工夫がないと実現しない数値です。しかも、田中さんのご主人は大食漢で、「ひき肉などを利用して、いかに安く満腹にさせるかをいつも考えています」。しかし、目を引くのは、やはりご主人のこづかい2000円。ほとんど「ない」に等しい額ですが、昼食はお弁当を持参するので、あえて他にお金を使う必要がないとのこと。妻のこづかいはありません。必要なものがあれは、実家で借りてくると言って笑っていました。雑費が5000円で足りている点も見逃せません。たとえ100円でもムダなものは買わない、また使途不明金を作らないという意識がなければ、なかなかこの金額では納まりません。

また、ボーナス87万円のうち50万円は定期預金に回しますが、残りは支出するのでしょうか。いえ、実際に支出するのは5万円ほど。残り32万円は、教育費の準備として加入した低解約型終身保険の年払い保険料として支払っているのです。すなわち、これも加えて実際は年間140万円を貯蓄していると言えるでしょう。

なぜ、ここまで貯蓄できたのでしょうか。家計のやりくりや、ご主人の協力(あるいは忍耐)、さらにはまだ教育費がかからないという点も貯蓄する上でメリットであったことは確か。しかし、それ以上に「住宅購入」という明確なモチベーションが、この貯蓄体質を生んだのです。

年収300万円台でありながら、実質その3分の1以上、38%を貯蓄した田中さん。削れる支出に関しては思い切って削り、同時に工夫で抑えられる支出は工夫し、そして何より貯蓄の動機付けとなる目標があったのが、その要因でしょう。ちなみに田中さんはその後、2人のお子さんを保育園に預け、パートを開始。1年前倒しで2年後の今年、マイホームを手にしました。

■家計を貯蓄体質にするための要素
これら要素が揃えば年収300万円台も十分に貯蓄できます

これら要素が揃えば年収300万円台も十分に貯蓄できます



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