宝塚ファン/宝塚歌劇入門編

『パリゼット』~レビュー黄金時代(2ページ目)

わずか16名の少女たちから始まった劇団が、100周年を迎えた奇跡……。様々な困難に遭いながらも新しいものを求め、今に繋いだ軌跡……。そこにいつもあったたくさんの輝石……。宝塚歌劇団100年へのキセキのひとコマをご紹介いたします。Part8『パリゼット』~レビュー黄金時代

桜木 星子

執筆者:桜木 星子

宝塚ファンガイド

不朽の名作となった『パリゼット』

「すみれの花咲く頃」「さよなら皆様」

(C)宝塚歌劇団 (C)宝塚クリエイティブアーツ

今でも受け継がれているこれらと共に、忘れてはならないのが歌。

『パリゼット』には、「すみれの花咲く頃」「おお宝塚」など、7つのパリの流行歌が登場します。どれも時を経ても歌われている愛唱歌ですが、特に「すみれの花咲く頃」は、宝塚歌劇を知らない人にまで愛されました。「宝塚=すみれの花咲く頃」「タカラジェンヌ=すみれの花」というイメージが定着し、すみれは宝塚市の市花にまでなったほどです。

欧米のエッセンスを取り入れたレビューを、日本の劇団が作り演じる……。西洋と東洋の文化を止揚する出来栄えとなった『パリゼット』は、各組(当時は花・月・雪の3組)で続演され、不朽の名作とうたわれました。

その後も1月と8月に白井レビューが上演されます。
初めて銀橋が登場した『ローズ・パリ』(1931年)。名曲インディアン・ラブコールで知られる『サルタンバンク』。『ブーケ・ダムール』 (1932年)では、門田芦子が宝塚で初めて断髪し話題を呼びました。

そして星組が創設された1933年、『花詩集』が初演されます。8つの花物語りがテーマのアンソロジーのようなこの作品は人気を博し、翌年の東京宝塚劇場のこけら落とし作品にも選ばれ、宝塚と合わせ、通算5ヶ月間も上演されました。折しも、宝塚創立20周年の年でした。

さて当時のスターといえば……。

舞踊専科の天津乙女。声楽専科の三浦時子、橘薫、草笛美子、明津麗子、葦原邦子、大空ひろみ。
花組の奈良美也子、桜緋紗子。
月組の小夜福子、巽寿美子。
雪組の桂よし子、雲野富士子。
星組の門田芦子、春日野八千代。

素晴らしい作品と素晴らしいスターたちが創ったこの時代は、宝塚歌劇団第一期黄金時代とも言われました。

その後も白井鐵造は、榛名由梨、順みつき、大地真央らによって上演された『ラ・ベルたからづか』(1979年)に至るまで、150作品を作り上げました。

「岸田辰彌が誕生させ、白井鐵造が完成させた」と言われる宝塚のレビュー。華やかで豪華で、観客を夢の世界へ誘う宝塚歌劇のお家芸は、その精神や伝統を受け継ぎつつ、現在も新しいステージへと進化しています。


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