カテキンの多い茶葉は、夏に収穫する煎茶
カテキンは緑茶の渋みや苦みのもとです。茶の渋味というとタンニンと思われる方もおられるでしょう。以前はタンニンと言われていました。タンニンとは、渋みのある植物成分の総称です。緑茶には重量で10~20%ものカテキンが含まれています。カテキンは単一の物質ではなく、ポリフェノールの一種の化合物群をさします。緑茶に含まれているカテキンは、エピカテキン、エピガロカテキン(EGC)、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート(EGCG)が代表的です。この中でEGCGが約半分、次にEGCが多く含まれています。
緑茶には、様々な種類がありますが、日光を多く浴びるほどカテキン含有量は高くなります。つまり、4月下旬から5月上旬の一番茶よりも、夏茶ともいわれる6月下旬から8月に採取される二番茶、三番茶などの煎茶に最も多く含まれています。
日光を遮って栽培する玉露や抹茶の原料となる碾茶は、茶摘みの数週間前から覆いをかけるので、煎茶に比べてカテキン含有量は低くなります。
カテキンも酸化されますが、緑茶は製造工程中で蒸すなどの加熱処理をすることで、酸化酵素の働きが抑えられるため、ほとんど酸化しません。紅茶等は、加熱せずに発酵することで、カテキンの大部分がテアフラビンやテアルビジンという色素に変化します。紅茶の色が赤いのは酸化しているからです。
また製造工程の中で、加熱処理を行うことでも、エピカテキンがカテキンに、エピガロカテキン(EGC)がガロカテキンに、エピカテキンガレートがカテキンガレート、エピガロカテキンガレート(EGCG)がガロカテキンガレートに変化します。
カテキンを意識して飲みたいなら
お茶漬けは、緑茶の楽しみ方の一つで、飽きのこないおいしさ。
また覚醒作用等のあるカフェインは、80℃以上の湯に溶けやすい性質があり、カテキンと同時に浸出されます。緑茶が健康に役立つと言っても、妊婦や子ども、病気の時や寝る前等は、刺激になるので飲み過ぎなどには注意が必要でしょう。
緑茶に含まれるカテキンと健康に役立つ作用は、抗菌、コレステロール・血圧・血糖降下作用、アレルギー抑制、抗腫瘍・発ガン抑制作用など、種々な研究が行われ、期待されています。
健康にどれだけ役立つのかという緑茶の研究では、緑茶に含まれているカテキンやテアニン等特定の成分を濃縮した形での実験が多いのですが、食品の緑茶としてどのような作用があるのかという、より実践につながりやすい研究報告も近年は見られます。今回のお茶漬けの報告も、その一つだと思います。
古くから薬としての価値も認められてきた緑茶は、今海外でもその効用や、また茶道などの精神性も高く評価されています。私たち日本人も、身近な健康飲料である緑茶のよさや、楽しみ方を見直したいものです。
関連リンク
・イライラしやすい中年男性に、抹茶のススメ(食と健康)
参考/
・茶をめぐる事情(農林水産省)
・各種機能性成分を有した各種国産農水産物「茶」(独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構)
・~緑茶と健康のメカニズム~機能効用ナビゲーション2013(静岡県経済産業部 農林業局 茶業農産課)
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