ジョン・レノンとオノ・ヨーコの共作アルバム
■アルバム名ダブル・ファンタジー
■アーティスト名
ジョン・レノン&オノ・ヨーコ
■おすすめ理由
ジョン・レノンという偉大なシンガー・ソングライターにとっては、全く未開のゾーンとなってしまった80年にリリースされたアルバム、ジョンのソロというよりも奥方ヨーコとの共作といったほうが適当です。
それまでのジョンは「House Husband」と自ら称し、約5年もの間を育児休暇に充てていました。
その間に日本にも頻繁に訪れていた事は有名な話です。
しかし腹の虫が治まらなかったのか? 音楽の世界への復帰作として話題になりました。
チープ・トリックをプロデュースしたジャック・ダグラスが呼ばれ、共同プロデューサーとしてクレジットされています。
ジョンは彼にお手製のデモテープを聴かせ意見を求めたそうです。
つまりそれくらい、音楽制作から遠のいた自分を客観視していた事が伺えます。
内容はジョンとヨーコの楽曲が交互に並ぶ構成です。
これは「男女の会話」といった趣になっています。
各々が制作した楽曲を、別々に収録しなかった理由をジョンは「そうしてしまうと、ヨーコの曲を聴かれない可能性がある」と語っています。
やはりそれまでの経歴や影響力からすれば、彼が懸念するのも当然ではあります。
どちらかと言うとジョンの曲を聴きたいからアルバム購入するリスナーが多く、発売当初は賛否両論でした。
果たしてヨーコの楽曲採用は如何なものか?という声が多かったのも事実です。
前衛的なヨーコ色が気になるのもこのアルバムの特徴ですが、かえって「Starting Over」「Woman」といったジョンの楽曲のメロディセンスもまだまだ健在だった事で、当時のファンは一安心しました。
ところがリリース後ひと月もしない1980年12月8日、ニューヨークで射殺され、このアルバムが遺作となった事は言うまでもありません。
世界中に衝撃を与えた訃報により、皮肉なことにアルバムセールスに反響を呼び、全英・全米で1位を獲得、1981年度グラミー賞のアルバム・オブ・ザ・イヤーを受賞しています。
80年代の洋楽名盤というよりも、もし生きていたら、80年以降から現在に至るまで、彼ならどんな音楽を作っていたのだろう?と感慨深くなります。
そんな意味合いも込めて、提唱したいアルバムです。