先日、ついに正式に解散を発表したTOTO。その3代目リードシンガーとして今もファンに人気が高いのがジョセフ・ウイリアムスだ。TOTOの最後の来日公演では東京の最終公演に参加し、「ストップ・ラヴィング・ユー」や「パメラ」といった往年の名曲を、在籍した当時以上にパワフルな歌声で披露してくれたことは記憶に新しい。そのジョセフの新作『This Fall』は、ファン待望のTOTOに近いアメリカンロックスタイルのアルバムになっている。

弾き語りの次はファン待望のロックアルバム


1982年にソロデビューしたジョセフ・ウイリアムス。その後TOTOに参加して『FAHRENHEIT』、『7th One』の2枚のアルバムを制作、そして脱退。それから何枚ものソロアルバムを出していて、今回の『This Fall』は通算10枚目のアルバムということになる。ソロアルバムではこれまでビッグヒットには恵まれていないが、シンガーとしてデビューする前から作曲家として活動していたジョセフだけに、作曲やプロデュースには定評がある。今度の新作も、ファンの期待を裏切らない、完成度の高いアルバムになっている。

ジョセフ・ウイリアムス
期待通りの新作『This Fall』を仕上げたジョセフ・ウイリアムス
ジョセフは、昨年には2枚のアルバムをリリースしている。その『スマイル』と『ティアーズ』は、ジョセフがこれまで影響を受けた偉大なアーティストの曲、ジョセフが愛してやまない曲をピアノ弾き語りというスタイルでカヴァーしたもの。名曲と言われる曲のメロディの素晴らしさと、ジョセフの歌のよさがダイレクトに伝わってくる作品だったが、やはりファンがジョセフにもっとも期待していたのは、TOTOのようなダイナミックなアメリカンロックだろう。ジョセフはそのことも十分承知していたようで、4月に話をしたときには、“今作っているのは、君が期待しているようなTOTOスタイルのロックアルバムだよ”と言っていた。そしてその言葉のとおり、ジョセフならではのメロディセンスと、パワフルなアメリカンロックスピリッツを詰め込んだ『This Fall』を完成させてくれた。

参加しているメンバーも、ファンの期待したとおりの面々。スティーヴ・ルカサー、デヴィッド・ペイチ、ボビー・キンボール、スティーヴ・ポーカロのTOTO組をはじめ、AORファンにはおなじみの元マクサスのジェイ・グルスカ、スティーリー・ダンでの名演も有名なリック・マロッタといった豪華なメンバーにより制作されている。そして中身のサウンドも、もちろんTOTOっぽいアメリカンロックが中心。そして、ジョン・レノンの大ファンでもあり、大きな影響を受けたのはクラシックや映画音楽だと言っていたジョセフらしく、多彩な音楽が見え隠れするアルバムに仕上がっている。