三人の力量の高さで魅せた一枚
■アルバム名アウトランドス・ダムール
■バンド名
ポリス
■おすすめ理由
パンク・ロックというジャンルが出現し、世の中がちょっとだけ動き出した70年代後半の英国、そのパンクを一蹴するかのような斬新な戦略性で、医師であったナイシェル・グレイが持つサリー・サウンド・スタジオにて、わずか10日間程で録音されたという、ポリスの記念すべき78年のデビュー・アルバムです。
本来はインディーズでの制作だったところを、メジャー・レーベルA&Mにデモテープが持ち込まれ、このアルバムが誕生しました。
当時の空気が感じられどこかパンキッシュですが、それは時代性というものです。
シーンの中心にいたものはその色に染まる典型でもあります。
しかし彼らが他と違ったのは「ホワイト・レゲエ」と称される我流なレゲエ解釈を導入し、バンドの核とした事、そしてその裏付けとなる各人の力量の高さでした。
元カーヴド・エアに在籍したスチュアート・コープランドの卓越したドラミング、元アニマルズのアンディ・サマーズの空間系ギター、そして高校教師をしながらジャズバンド、ラスト・イグジットで活動したスティング、この三人三様な個性の出し方は、音を大量に埋め尽くすロックアレンジとは対極に位置し、少ない編成での音の隙間利用に活路を見出しました。
ちなみにこのアルバムに収録されている曲「So Lonely」のプロモーションビデオ撮影は、東京都営地下鉄浅草線の地下鉄車内や駅構内で行われました。
「ローリング・ストーン誌が2003年に選出したオールタイム・グレイテスト・アルバム500」では434位にランク・インし、後の改定では428位となりました。
また同誌が選出した「オールタイム・ベスト・デビュー・アルバム100」に於いて38位にランク・インしています。