笑えてちょっとしんみりさせられる優れた群像劇
■作品名『Shall we ダンス?』
■監督
周防正行
■出演
役所広司、草刈民代、竹中直人、渡辺えり、柄本明、徳井優、田口浩正、草村礼子、原日出子、仲村綾乃
■DVD販売元
角川ヘラルド映画
映画公開時、日本中に社交ダンスブームを巻き起こしたほどの話題作。
2004年には、リチャード・ギアとジェニファー・ロペス主演でハリウッドでも映画化されました。
■あらすじ
平凡な毎日を送る中年サラリーマン・杉山(役所広司)。ある日、ホームで電車を待っていた彼は、駅近くのビルの窓辺に佇む美女(草刈民代)に目を奪われる。思い切ってビルを訪れると、なんとそこは社交ダンス教室。これまでの自分には縁のなかった世界だけに一瞬躊躇するものの、成行きで社交ダンスを始めることになってしまい……。
真面目なサラリーマンである杉山が、次第に社交ダンスの面白さに目覚め、のめり込んでいく様子が可笑しいやら切ないやら……。
そして、社交ダンス教室の個性的すぎる面々。
いかにも鈍そうな肥満体の男が大汗かいて必死にステップを踏んでいたり、生活感丸出しのおばちゃん(渡辺えり子)が人生これからが花と言わんばかりのド派手な衣装で登場したり……。
中でも、竹中直人さん演じる青木は、いい意味で気持ち悪すぎ!
背脂こってりのラーメンみたいな脂っぽさがたまりません。渡辺えり子さんとの容赦ない掛け合いも絶妙です。
何か隠し事をしているらしい夫に不信感を抱いた杉山の妻(原日出子)は、こっそり探偵事務所に足を運びます。
ほどなく、浮気ではなく社交ダンスに熱中していることが判明するのですが、彼女は一瞬ほっとした表情を見せながらも、「これは、浮気」と呟くのです。
ダンス教室のたま子先生(草村礼子)といい、どうしようもない男たちをそっと見守る女性陣のあたたかな眼差しが素敵。
笑えて笑えて、最後にちょっとしんみりさせられる、優れた群像劇です。
もう一人の主役である「舞さん」を演じる草刈民代さんの本業はバレリーナで、台詞は非常に少ないのですが、「ただそこに居るだけで美しい」という独特の存在感を放っています。
のちに周防監督の奥様になったのも、うなずけますね。