区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するのが基本原則
賃貸やリフォーム申請時に管理組合は確認を怠らないように!
国交省が指標あるいは参考となるよう作成・公表している「マンション標準管理規約」では、専有部分の用途に言及しており、「区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない」としています。
区分所有者(その家族などを含む)が自ら住むのであれば「違法貸しルーム」の問題は発生しないのですが、「区分所有者は、その専有部分を第三者に貸与する場合には、この規約および使用細則に定める事項をその第三者に遵守させなければならない」としており、第三者への賃貸を(当然ながら)認めています。
専有部分を第三者に賃貸する申し出があった場合、管理組合は要注意!
そのため、断定的な判断は危険ですが、専有部分を第三者に賃貸する申し出が管理組合にあった場合、管理組合は気をつけてください。賃貸の届け出と同時にリフォームの話も出ていたら、さらに危険度は高まります。国交省からは「違法貸しルーム対策に関する通知」として、マンション管理組合に向けた以下のような案内が出されています。似たようなケースに遭遇した場合は、ぜひ思い出してください。<マンション管理組合の皆さまへ>
- (1)専有部分の改修を行おうとする時の区分所有者からの改修計画承認の申請などにより、「違法貸しルーム」への改修の疑いがあることを把握した場合、また、(2)マンションの住戸に出入りしているリフォーム業者にその住戸内での工事内容を確認し、「違法貸しルーム」への改修の疑いがあることが把握できた場合などには、管理会社と相談のうえ、特定行政庁までご相談ください。
- ご相談いただいた案件について、特定行政庁は必要な調査を行った上で、違反の有無などにかかる情報を適宜、提供することとしております。
- 建築基準法違反の有無にかかる情報は、専有部分の改修の承認または不承認を決定するに際して重要な要素となりますので、特定行政庁から情報提供されるまで承認または不承認の決定を保留することができます。
- 提出された図面などにより、改修計画について建築基準法に違反するものである旨の情報が特定行政庁から提供された場合、専有部分の改修を不承認として差し支えありません。
専有部分の改修についての承認規定を持たない管理組合においては、管理規約にこの規定を追記することにより、早期の発見、トラブル防止に役立ちます。また、すでに承認規定が規約に盛り込まれている管理組合も『建築基準法などの法令違反を改修の不承認事由』として定めておくことで、問題への迅速な対応が可能になります。
管理規約を改正するには総会を開催し、4分の3以上の賛成(特別決議)を得る必要がありますが、その分の価値はあるはずです。決して手間を惜しまず、トラブルの事前予防に努めてほしいと願います。