塩原温泉郷とは
塩原温泉は、栃木県那須塩原市の山間部に点在する温泉地群の総称。温泉地群の総称なので、塩原温泉郷と表記する方が正しいと思いますが、塩原温泉で十分通用します。エリア内には大網温泉、福渡温泉、塩釜温泉、塩の湯温泉、畑下温泉、門前温泉、古町温泉、中塩原温泉、上塩原温泉、新湯温泉(あらゆ)、元湯温泉の11もの温泉があり、新湯温泉は奥塩原温泉と呼ばれる場合もあります。温泉街入口に塩原渓谷があり、渓谷美や紅葉が名物の自然環境に恵まれた温泉地ですが、最大の特徴は多種多様な泉質が揃う本格派の温泉だと言う事。主な泉質だけでも、重曹泉、硫黄泉、塩化物泉、硫酸塩泉、単純泉とあり、東京から近い温泉地で、これだけの種類の泉質が揃っている温泉は、カルデラ地形で多種多様な湯が湧きやすい箱根を除き、他に無いと思います。
今回は、塩原温泉を紹介します。
塩原温泉郷の源泉・泉質
既に述べた通り、塩原温泉には多種多様な湯が湧いています。ここでは、特に特徴的な温泉地を紹介します。最初に紹介するのは、塩原元湯温泉。旅館は三軒あり、どの宿も硫黄泉ですが、どの宿も複数の源泉があり、お湯が源泉毎に異なります。各宿で最も特徴的な源泉を紹介します。大出館の「墨の湯」は、その名の通り真っ黒な硫黄泉で日本でも極めて珍しい湯です。ゑびすやの「梶原の湯」は硫黄泉ながら体温程度のぬるい湯で、塩原最古の源泉と言われる名湯です。元泉館の「邯鄲の湯」は緑かかった硫黄泉の名湯で、朝食の温泉粥も名物で実に美味です。三軒とも日帰り入浴が出来ますが、元泉館の日帰り浴場は「高尾の湯」となり、「邯鄲の湯」は宿泊者専用です。
次に紹介するのは、塩原新湯温泉。日塩もみじラインで行く他に、塩原元湯温泉からの山道もあります。多数の宿と三軒の共同浴場があり、日帰り入浴も出来ます。濃厚な硫黄臭と白濁の硫黄泉が魅力の温泉地です。
塩の湯温泉も塩原温泉では珍しい褐色の湯が魅力の温泉です。宿が二軒あり、他に下流の数軒の宿で塩の湯温泉から湯を引いています。
塩原温泉郷の旅館
塩原温泉郷で評判が高い宿は、旅館梅川荘、湯ったりの宿松楓楼松屋、上会津屋などですが、大浴場はいずれも循環併用です。宿としての良さは、これらの宿に軍配が上がると思いますので、参考にして下さい。一方、塩原温泉らしい多彩な泉質を堪能するには、やはりかけ流しの宿にこだわるのがおすすめ。特に、既に源泉・泉質の欄で紹介したような温泉や宿を選ぶと良いと思います。
中でも温泉好きにおすすめなのが、新湯温泉の湯荘白樺。寺の湯の右側で中の湯の手前という、共同浴場に挟まれた立地で、お湯も中の湯と同一源泉からの引湯で、ともかく湯が良いのです。特に混浴露天風呂の硫黄臭の濃厚さは特筆されます。素朴な宿で宿泊料もリーズナブルですが、御膳からはみ出すように並ぶ夕食にも好感する宿です。
塩原温泉郷の日帰り入浴施設
塩原温泉郷には手軽な料金で入れる共同の露天風呂が複数ありますが、近くに駐車場も無いか、あっても常時満車で、利用し難いのも事実です。よって、塩原温泉郷では、宿での日帰り入浴がお勧めです。入浴料が割引になる一年間有効の湯めぐり手形も販売しているので、一年間に何軒も入る人におすすめ。手形に加盟している宿の中で、既に述べた元湯と新湯の宿は除いて、お湯が良い宿を紹介してみます。まずは、ホテル塩原ガーデン。男湯も内湯と露天で湯が異なる温泉三昧の宿ですが、特に日帰り時間は女湯になっている露天風呂が、塩の湯温泉からの引湯で素晴らしいのです。塩原中心部の門前温泉では、光雲荘。大きな内湯と露天風呂があり、大湯量でかけ流しになっているのが好印象です。同じく中心部の古町温泉では、満寿家。お湯自体はサッパリしていますが、特に露天風呂で湯が流れ去る所に成分が析出しており、湯の良さをしみじみと感じる宿です。
塩原温泉郷の観光スポット
冒頭に述べた通り、塩原温泉の入口は塩原渓谷になっており、遊歩道の他、もみじ谷大吊橋などがあり、緑豊かな自然に親しむ事が出来ます。そして、一番のおすすめが紅葉の時期です。もみじばかりでは無いので一面真っ赤になる訳では無く、赤やオレンジや黄色が混ざった色とりどりの紅葉になります。紅葉は時期が過ぎると、あっという間に落葉して寂しい光景になってしまうので、まだ早いかなあと思う位の、早めの紅葉を狙うのがおすすめです。