理学療法士試験 臨床心理学の問題傾向
臨床心理学の問題傾向について、目立った変更点はあまりみられません。防衛機制、心理療法、心理学者の実績、心理テスト、知能検査、認知機能検査、人格、学習、転移などから出題されています。それでは早速、近年の問題について解答と一緒に見ていきましょう。臨床心理学の過去問題と解答
過去問題 第52回(2017年)語の流暢性課題を含む検査はどれか。
- MMPI
- MMSE
- WCST
- HDS-R
- Rorschachテスト
この問題の答えは【4】になります。まず、かく評価表記がアルファベットになっていますが、それぞれ日本語で何なのかを理解している必要もあります。HDS-R(長谷川式簡易知能評価スケール。)では、語の流暢性のほかに見当識、記銘、再生、計算などの9項目を評価します。MMPI(ミソネタ多面人格検査)は、550の質問からなる質問紙法心理検査になります。MMSE(ミニメンタルステート検査)は、言語性課題7項目、動作性課題4項目の認知機能検査法で語の流暢性はありません。WCST(ウィスコンシンカード分類課題)は、4つの色と形が書かれた4枚のカードを使用する高次脳、特に前頭葉機能の検査法です。Rorschachテストは、10枚の絵柄がどのように見えるかという投影法を使った人格検査です。
過去問題 第52回(2017年)
行動療法の技法でないのはどれか。
- 精神分析
- 系統的脱感作法
- 曝露反応妨害法
- トークンエコノミー法
- バイオフィードバック法
この問題の答えは【1】になります。精神分析はフロイトにより開発された心理療法であり行動療法ではありません。その他の選択肢は、すべて行動療法です。系統的脱感作法は、ウォルピにより生まれた古典的条件付けの行動療法になります。曝露反応妨害法は、認知行動療法のひとつで、曝露下(不安や恐怖のある環境)で、不安や恐怖に慣れさせる行動療法のひとつで、主に強迫性障害に行われる技法です。トークンエコノミー法は、主に小児自閉症に使われるオペラント条件付けに基づく行動療法です。バイオフィードバック法は、強迫性障害や不安神経症に適に使われ、さまざまな生理反応を計測し、良い状態、悪い状態を明確化する行動療法です。
過去問題 第51回(2016年)
記憶のプライミングについて正しいのはどれか。
- 学習によって習熟する。
- 健忘症候群では障害される。
- 潜在記憶の1つである。
- 短期記憶に分類される。
- 陳述記憶の1つである。
この問題の答えは【3】です。プライミング記憶とは無意識の記憶と呼ばれ、過去の記憶が後の記憶に影響する記憶の事です。基本的に健忘症候群で障害される事はなく、長期記憶に分類され、非陳述記憶となります。その他、詳細は、「養成校での勉強法 手続き記憶+プライミング記憶」で触れていますのでご参照ください。
過去問題 第51回(2016年)
投影法はどれか。2つ選べ。
- CMI
- MMPI
- Rorschach test
- SCT
- TMT
この問題の答えは【3と4】です。投影法は性格検査に用いられ、具体的ではない曖昧な設問で、被験者の心の内面や性質を明らかにする検査です。1のCMIと2のMMPIは、質問紙法であり間違いです。5のTMTは、注意障害や遂行機能障害の評価法であるため間違いとなります。
次のページでは、精神医学の問題傾向について説明します。