LINEが作った情報共有と意見交換の場
私は毎年大学生の就職支援をしているが、昨年と今年で最も変わったことは学生同士が「LINE」を使ってコミュニケーションを取るようになったことだ。今までであれば、合宿やセミナー後に学生同士が携帯をくっつけ合いメアド交換をする姿が当たり前だったが、LINEが普及してからはほとんどそのような光景はみなくなった。ではLINEでのコミュニケーションが彼らの就活にどのような影響を与えたのか。
LINEの登場で就活生の情報交換の密度は飛躍的に増した
ある就活生のエピソードを元に「LINE就活」の特徴を見てみよう。
彼と出会ったのは私が昨年の12月に開いた教え子の後輩向けの就活セミナーだった。仲間からのニックネームは「かんちゃん」。誰からも好かる明るいキャラクターを持つが、口下手で若干不器用なところもあったので、就活もうまくいくか少し心配だった。
彼は3月の合宿にも参加してくれ、その時に合宿終了後にも参加者が集まる企画を考える「企画係」に手をあげて立候補してくれた。就活で一気に忙しくなる時期に、あえて面倒な役をやろうとしたのは彼が積極的な人間だったからではないと思う。ただただ皆のことを考えて、「面倒なことは自分が……」とあえて手を挙げてくれたと私は感じていた。
その後彼が最初にやった仕事が「LINE」のグループの立ち上げだった。
参加者全員が登録されているグループと、かんちゃんを含めた企画係4名が登録されているグループと分けて作られた。
その後の彼らの活動は、過去の就職支援の現場ではなかったことだった。
全体グループでは合宿の感想を各々が言い合い、その後就活の予定やイベント情報などを共有し合っていた。たった1日、2日で大量の情報が飛び交う。企画グループでは、4人がお互いに意見を出し合いながら次回の企画を練っていく。今まであれば、日程を合わせてどこかのカフェでミーティングをしなければならなかったが、LINEの中で皆の意見を集め4人でまとめてしまった。
LINEは就活生同士の「情報共有」を活発にし、共有し合うだけでなく何か1つのテーマにおいて議論できる場を就活生に提供してくれた。これによって良い就活イベントや企業情報は多くの学生に広まるようになり、相談や意見交換などもLINE上で気軽に出来るようになった。