名監督たちを悩ませたTOKYOの撮影許可の厳しさ!
『キル・ビルPart1』(2003年度作品)
家族を殺され、結婚式をめちゃくちゃにされたザ・ブライド(ユマ・サーマン)は、彼女だけを半殺しにしてとどめを刺さなかった元ボスのビル(デヴィッド・キャラダイン)の復讐に燃える! Vol.1は日本を舞台に復讐劇が繰り広げられますが、残念ながらオール東京ロケではなく、メイン舞台となる青葉屋のシーンは中国でセットを組んで撮影したそうです。一応、お台場あたりの道路が登場しますけどね。許可が厳しく、東京ロケを存分にできなかったのは残念ですが、日本刀、ヤクザ、チャンバラなど、クエンティン・タランティーノ監督が描きたかった日本は映し出されているし、監督の日本への愛を感じられる作品になっています。
監督: クエンティン・タランティーノ
出演: ユマ・サーマン、デヴィッド・キャラダイン、ダリル・ハンナ、ルーシー・リュー、 千葉真一、栗山千明ほか
『バベル』(2006年度作品)
モロッコ、アメリカ、日本で、1丁の銃が人生を結びつける物語。菊地凛子がアカデミー賞助演女優賞候補になったアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督作。日本ロケは許可が厳しく困難を極め、監督は相当苦労したようです。でも映画を見ると、わかってもらえない、満たされない、寂しい……という、負の感情を抱えたチエコ(菊地凛子)の佇まいは、ネガティブな東京の一面を浮き上がらせています。だからこそクラブで大胆なポーズを取ったり、マンションで涙したり、公園でブランコに乗ったりする彼女のシーンが忘れられないものになったのでしょう。ロケ地は、中央区勝どき、渋谷スクランブル交差点など。
監督: アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
出演: ブラッド・ピット、ケイト・ブランシェット、ガエル・ガルシア・ベルナル、役所広司 、菊地凛子、二階堂智ほか
ホテルの知名度をあげたオシャレなTOKYO映画
『ロスト・イン・トランスレーション』(2003年)
ソフィア・コッポラ監督がお気に入りのホテル「パークハイアット東京」を舞台にアメリカ人男女の淡い想いを描いた物語。忙しい夫にかまってもらえないカメラマンの妻(スカーレット・ヨハンソン)が、孤独なハリウッドスター(ビル・マーレイ)とホテルで出逢い、お互いシンパシーを感じて距離を縮めていく……。異国の地で孤独を感じる二人が恋と友情の間で揺れる浮遊感が、高層からの眺めにマッチしていました。日本人の描写が「ちょっと小馬鹿にしてない?」とムっとしますが、雰囲気作りのうまいソフィア・コッポラ監督はオシャレ映画として仕上げることに成功。ちなみに、この映画が評価されたことで、ハリウッドでパークハイアット東京の認知度が上がり、来日スターの指名率が上がったそう。新宿の量販店が並ぶ雑踏、渋谷のカラオケ、代官山、成願寺などで撮影。
監督: ソフィア・コッポラ
出演: ビル・マーレイ、スカーレット・ヨハンソン、ジョヴァンニ・リビシ、アンナ・ファリスほか
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