エネルギーが爆発する『ロミオ&ジュリエット』レポ(3ページ目)

恋愛だけでない、物語の奥行き

『ロミオ&ジュリエット』というと「ああ、あの2人のラブロマンスでしょ？」と簡単に括られがちですが、そんな単純な物語ではありません。この作品は群像劇といえるほど、登場人物個人個人が明確に描かれています。2つの名家が対立し、誰もが心の奥で争いは嫌だと思いながら巻き込まれざるを得ない状況は、いまだ世界中で止まない戦争とも通じます。恋愛劇、家族劇であり、友情ものでもあり。観る人によって感情移入するところが全く異なるはず。 超個人的なツボはティボルトで、ここはロミオと
対峙する大きな役でもあ ります。今回、ティボルトは城田さんと加藤和樹さん。それこそまったく異なる人物像で、私は驚喜(！)。城田さんはハッタリの中に脆さが垣間見られる、スター性溢れるティボルト。加藤さんは見るからに渋さと翳り、色気があり、今までにない月のようなティボルト。加藤さんのキャピュレット夫人とのやりとりは、背徳感が半端なし！

城田さんと加藤さんはかつて『テニスの王子様』でライバル役を演じ、その舞台は今でも伝説だとか。城田ロミオと加藤ティボルトの通し稽古では、始まる前お互いに指を指し合い、挑発しまくっていました。本公演では2人の熱血ぶりを充分に味わえます。
【公演情報】
『ロミオ&ジュリエット』
9月3日～10月5日　東急シアターオーブ
10月12日～27日　梅田芸術劇場メインホール