ミュージカル/注目のミュージカルレビュー・開幕レポート

エネルギーが爆発する『ロミオ&ジュリエット』レポ(2ページ目)

人気爆発の男女版初演から2年。待望の『ロミオ&ジュリエット』が開幕しました。新しいキャストを迎え、劇場や装置、衣裳も変わり、よりポップでエッジの効いたロミジュリに。ミュージカルの進化形をレポートします。

三浦 真紀

執筆者:三浦 真紀

ミュージカルガイド

客席で座ってるとウズウズする!

舞台写真

城田優のロミオ

曲はどれも素晴らしく、捨て曲ゼロ。曲調はポップス中心です。座って観ているのがじれったくなるナンバーばかりで、いつかライブ感覚で盛り上がりたいなあ。

どこか大きなライブハウスで、観客も一緒に歌い踊るというのはどうでしょう? 生バンドで。

あ、その際、観客のドレスコードはアニマル柄の服! ああ、妄想はつきません。

 

見事に色の異なる3人のロミオ

舞台画像

古川雄大ロミオと清水くるみジュリエット

今回はダブル、トリプルキャストが多く、1回観たい→全員観たい→いろ んな組み合わせを観たい……と、幸せな悩み。お財布泣かせでもあります。

3人のロミオは方向性が違って、全員素晴らしい。城田優さんは去年に引き続きですが、普段の行動が座長そのもの。お稽古でも、カンパニーを鼓舞したり、訊ねてくる人には丁寧に教えたり。ロミオとしては、明るく華やか。甘い声で優しくてモテモテで、乳母がひと目でロミオ様とわかる、明快なロミオに見えました。その分、壊れた時とのギャップが大きく、若さゆえの過ちが胸に響きます。

 

舞台画像

柿澤勇人のロミオとフランク莉奈のジュリエット

古川雄大さんは、見た目は美しく王子様風ですが、ちょっと控えめで影が あるのがとても魅力。もともと死の影に一番つきまとわれているような雰囲気すらあり、そのあたりは『エリザベート』のルドルフと重なりました。死と絡むシーンが特に素晴らしく、「僕は怖い」は鳥肌もの。

柿澤勇人さんは、少年性たっぷり。その無垢さ、繊細さがキラリと光る、なんか放っておけない、母性本能をくすぐるロミオに感じました。喜んで神父様に飛びつくシーンでは椅子をピョーンと飛び越えるなど、身軽でキレキレ。パーンと張った伸びのある美声で聴かせてくれます。

 

ジュリエットと死もそれぞれ個性的

舞台写真

フランク莉奈と城田ロミオ

ジュリエットは2人。フランク莉奈さんは初演が初舞台で一緒にドキドキ したものでした。2年経って見事な成長を感じるとともに、ちょっと頑固で気が強い、今時の女の子っぽいジュリエットが活きています。今回、初舞台となる清水くるみさんは、去年の莉奈さんを思い出させる初々しさ。初日挨拶では涙を見せたぐらいいっぱいいっぱいだったようですが、日に日に伸びていくことでしょう。

陰の主役ともいえる死はダンサー3名。勝手にイメージ分けすると、中島周さんはベジャール的、ぬめっとまとわりつく死。大貫勇輔さんはマシュー・ボーン的で妖しくしたたかな死。今回初登場の宮尾俊太郎さんはクラシックでノーブル、直球の死のように感じました。
舞台写真

死の大貫勇輔と柿澤ロミオ


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