大学生の就職活動/就職活動の選考対策

なぜ企業はコミュニケーション力を重視するのか?(2ページ目)

企業は選考を通じて学生の能力を評価するが、「選考基準で最も重視しているもの」の中で、毎年1位になるのが「コミュニケーション力」。これはもう学生も企業も「当たり前」のようになっている。しかし、学生たちが経験してきた「受験」ではまったく問われなかったコミュニケーション力がなぜ企業に採用される際にはこんなにも重要視されるのだろうか?

小寺 良二

執筆者:小寺 良二

ライフキャリアガイド

 オタクチームが持っている高い仕事力

私は毎年の新入社員研修で、会社に入りたての新入社員に研修を実施する機会がある。

今年の4月にはベンチャー企業10社ほどの新入社員を集めた合同の合宿研修に講師として参加し、5名1チームを3チーム担当した。

毎年新入社員研修では若手人材の圧倒的な成長力を体感する

毎年新入社員研修では若手人材の圧倒的な成長力を体感する

その中の1チームは、あるゲームアプリを作っている会社の新入社員で構成されており、初めてチームメンバーを見た時はある意味「ゲームオタク集団」というか、第一印象も暗い感じでまったく社会で活躍する様には見えなかった。逆に他のチームの新入社員の方がはつらつとしていて、コミュニケーション力もあり、頑張り屋の印象だった。

 
その研修ではチームでいくつかのプログラムを競争し、3日間通じてのポイントで1位を目指すという「成果追求型」の研修だった。その中には論理的な分析が必要なものであったり、40キロ歩くような肉体的にハードなものであったり、さまざまなプログラムがあるのだが、驚いたことが1つあった。

どのプログラムでもその「オタク集団」の成績が良いことだった。

不思議に思ってそのチームをよく観察してみると、“オタクチーム”の他のチームとは違う特徴が見えてきた。

1.負けず嫌いであること
とにかく他社のどの社員よりも「負けず嫌い」だった。おそらく普段ゲームをやっているときもそうなのだろう。勝つことにこだわり、成果を出すことに最も一生懸命なチームだった。

2.戦略と計画をしっかりと立てること
勝つために綿密な戦略と計画を立てる。まるでゲームの攻略本を片手に、いかに早く効率的にそのゲームに勝てるかを考えているようだった。

3.地味だが言うべきことは言い合うこと
オタクチームはチーム内でメンバー同士が意見の違いでよくぶつかっていた。最初はまとまりがない様に見えたが、他のチームが遠慮して意見を言い合わない間にオタクチームはぶつかり合ったおかげで、意識や方針が他のチームよりも1つにまとまっていた。

このように彼らオタクチームのメンバーは決して他の社員よりもコミュニケーション能力が高いわけではない。しかし仕事で成果を出すために必要な力というのは十分に持っている。

コミュニケーション能力は社会で必要なとても大切な能力である。
しかしコミュニケーション能力があるから、企業から採用される、社会に出て仕事で活躍できると考えるのは安易過ぎる考えだ。

仕事をしていく上で求められる力をしっかりと考えながら、自分自身の持っている力に目を向けていこう。
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