老後の生活費は月22万~28万円ほど

総務省「家計調査(第3-2表 世帯主の年齢階級別1世帯当たり1か月間の収入と支出)」によると、世帯主が60歳以降世帯の平均支出額は次のとおりです(平成29年6月現在)。
・60~69歳の世帯 月27万8403円
・70歳以降の世帯 月22万4318円

また、金融広報中央委員会の調査(家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 平成28年調査結果)によると、老後の生活費として現役世代が見込んでいる金額は平均で月27万円ほどとなっています。

年金の平均受給額はモデル世帯で月22万1000円だが…

年金だけでは老後の生活費をまかなうことはできない

年金だけでは老後の生活費をまかなうことはできない

一方、年金受給額はどうなっているのでしょうか。日本年金機構によると、モデル世帯(後述)の年金月額は約22万1000円(平成29年4月現在)とのこと。

内訳は、夫の老齢厚生年金が約9万1000円、老齢基礎年金が約6万5000円、妻の老齢基礎年金が約6万5000円となっています。

ちなみにモデル世帯とは、夫が厚生年金に40年加入し、妻が第3号被保険者を含め、国民年金を40年納めた場合です。

実際の年金受給額はモデル世帯より少ない

一般にはこの数字が平均の年金額とされているようですが、モデル世帯のような条件の良い世帯は現実には少数派でしょうから、実際の年金額はもっと少なくなります。

実際の年金額の平均は、日本年金機構の統計(平成29年2月末現在)によると次のとおりです。
・厚生年金 月14万7893円(20年以上加入の場合、基礎年金含む)
・基礎年金 月5万4813円

夫が会社員、妻が専業主婦というモデルに合わせた場合、平均の年金額は20万2706円になります。やはりモデル世帯の年金額より少ないですね。60歳から69歳の支出額からみると、約7万6000円不足することになります。

年金支給開始の年齢によっては、さらに不足額が膨らむ

ただし、上の年金受給額やモデル年金額には、基礎年金を含んでいることに注意が必要です。

というのは、基礎年金は原則65歳から。上の例で考えると、60歳から65歳になるまでは夫の厚生年金しか受け取れないことになります。

金額をはっきり示した統計資料はありませんが、単純計算で上の基礎年金を含む厚生年金の額から基礎年金の額を引くと、約9万3000円ほどとなります。これをもとに計算すると、月の不足額は実に約18万5000円。60歳から厚生年金を受け取るとしても、5年間で約1110万円が不足するという計算になります。

しかも、これから年金を受け取る男性の厚生年金の受給開始は62歳以降。年を下るごとに年金の受給開始年齢も遅くなります。60歳以後、2年から5年の間は完全に無年金となり、さらに不足額は増えます。

今後はマクロ経済スライドや年金額改定ルールの見直しにより年金額は増えにくくなる!?

マクロ経済スライドとは、年金額に少子高齢化による影響を織り込んで、物価が上がっても年金の伸びを抑える仕組みです。また、2016年末に成立した法律による年金額改定ルールの見直しも今後導入されていきます。これら仕組みにより、今後は年金がこれまで以上に増えにくくなります。

老後資金はしっかり貯め、できるだけ働き続ける

このように、年金暮らしで悠々自適、という生活はもはや過去のこととなってしまったようです。不足分は働いて勤労収入を得るか、預貯金などの金融資産を取り崩してまかなうしかありません。

高年齢者雇用安定法により、厚生年金支給開始年齢までは希望者全員を継続雇用するよう企業は義務づけられています。60歳以降、働く場がある限りは働いて収入を確保すると同時に、老後資金をしっかりと準備しておくことが必須といえそうです。

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