アイルランド/アイルランドの観光

リムリックの街で「アンジェラの灰」の舞台巡り

1997年にピューリッツア賞を受賞したフランク・マコート氏の自伝的小説「アンジェラの灰」。アイルランドがヨーロッパの貧しい小国だった時代に、リムリックで過ごした少年時代。繊細だからこそ生まれるユーモアな視点で物事をとらえながら一日一日を生きるマコート少年の歩いたリムリックを体感できるツアーです。

執筆者:原 貴子

作品に思いを馳せながらリムリックを歩こう!

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シャノン川沿いのリムリックの街には、「アンジェラの灰」に登場するスポットが点在する

フランク・マコート氏の自伝的小説の舞台リムリックでは、作品に登場するスポットを実際に巡る「アンジェラの灰ウォーキングツアー」があります。リムリック在住ガイドと街を歩き、マコート少年の歩いたリムリックを感じることができるこちらのツアー、リムリックに訪れる際にはぜひ参加してみてはいかがでしょう。

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ガイドのノエルさん。フランク・マコート氏の胸像の横で

約1時間ほどの英語でのツアーは2人から催行。リムリックのツーリストインフォメーションで申し込めます。ガイドは当日現地で申し込んでツアーに参加できたのですが、確実に参加されたいという場合は、事前にインフォメーションセンターにメールで問い合わせることをおすすめします。


<DATA>
■Limerick Tourist Information(リムリックツーリストインフォメーション)
住所:Arthurs Quay Limerick
TEL:+353 61 317522
メール:limericktio@failteireland.ie
料金:1人10ユーロ

ガイドのノエルさんは小説の内容以外にも、リムリックの街の特徴やアイルランドの歴史などにふれながらガイドしてくれるので、小説を未読でも楽しめるのですが、読んで行くと「ここがあのシーンのあの場所か!」と興奮度が増すこと間違いなし。作品に関する質問をすると興味深いエピソードをたくさん教えてくれるので、ぜひ出発前に小説を読まれることをおすすめします。

今回はツアーの中から特に興味深かったパートをハイライトでご紹介します。

マコート少年がアメリカ行きの資金を貯めた郵便局

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郵便局は、オコンネルストリートそばに位置する

すでにリノベーションされ、外装は新しい印象の郵便局ですが、この場所がマコート少年が電報配達の仕事をしていた郵便局なのだそう。「当時電報がアイルランドにとってどれだけ重要なものだったか、外国の人はなかなか想像できないかもしれないけど」と切り出したガイドのノエルさん。

お話によると、アメリカに多くの人が移住し、またイギリスにも相当な数の人が働きに出ていたインターネットもメールもないその時代に、海外にいるアイルランド人が家族と連絡をとるために使っていたのは電報だったといいます。「いいニュースも悪いニュースもすべて電報でやってきた。フランクはここで相当数の電報を配達し、アメリカにいく資金を貯めたんだよ」。

フランク少年が最初のパイントを飲んだパブ

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作品にゆかりのあるパブの男性用トイレのサイネージ下には筆者の名前「FRANK」(フランク)の文字が

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パブはファンや地元の人でいっぱい

フランク少年が最初のパイントを飲んだといわれるパブもリムリックの街に実際にあり、今も営業しています。作品中でも印象深いこちらのパブのシーンですが、フランク・マコート氏がアメリカに移住し有名な作家になってからも、故郷のリムリックに帰ってきてはこちらに足を運んでいたようです。

クラシックなインテリアも素敵なこちらの老舗パブですが、訪れた際には、「アンジェラの灰」がらみのジョークが効いたお手洗いのサイネージに注目してみてください!

男性用のマークの下には「FRANK」とくれば、女性側に書かれた名前は想像がつく方もいるのではないでしょうか。女性側は小説のタイトルにもなっているフランク・マコート氏のお母さんの名前「ANGELA」(アンジェラ)となっています。
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