おすすめバレエ映画13選! ドキュメンタリーからフィクションまで超厳選
バレエ映画は、ドキュメンタリーからフィクションまで幅広くあります。エレガントで美しいバレエの世界ですが、その裏側は、とてもハードな練習があったり、嫉妬渦巻く世界があったり……。ドラマチックだからこそ、バレエ映画は私たちをトリコにするのです。
では、2022年の映画『新章 パリ・オペラ座 特別なシーズンの始まり』を筆頭に、美しいバレエの世界を描いた映画をご紹介しましょう。
【ドキュメンタリー】映画人を魅了する傑作6選
1:『新章 パリ・オペラ座 特別なシーズンの始まり』(2022年8月19日公開) 世界最高峰のバレエカンパニーの一つでもあるフランスの「パリ・オペラ座」。350年前に創設されたこのカンパニーと劇場は、フランス文化の象徴でもあります。そのパリ・オペラ座に、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が大きな影を落とします……。毎年180回以上の公演で、世界中のバレエファンを楽しませてきたパリ・オペラ座は、実は2020年、コロナ禍により3カ月間、クローズしたのです。 この映画は、パリ・オペラ座が再開し、新作『ラ・バヤデール』公演のためにレッスンを再開したカンパニーを追いかけます。
コロナ禍がダンサーへ与えた計り知れぬ影響を映し出しつつも、レッスン再開シーンでは、その躍動感あふれるダンス、優雅なダンスなどさまざまな場面を見せてくれます。そして新たな試練と試みへの挑戦も! バレエファン必見のドキュメンタリーに仕上がっています。
監督:プリシラ・ピザート
出演:パリ・オペラ座バレエ
アマンディーヌ・アルビッソン、レオノール・ボラック、ヴァランティーヌ・コラサント、ドロテ・ジルベール、リュドミラ・パリエロ、パク・セウン、マチュー・ガニオ、マチアス・エイマン、ジェルマン・ルーヴェ、ユーゴ・マルシャン、ポール・マルク、アレクサンダー・ネーフ(パリ・オペラ座総裁)、オレリー・デュポン(バレエ団芸術監督)
2:『ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣』(2017年7月15日公開) ルドルフ・ヌレネフの再来と言われた天才ダンサーのポルーニンにフォーカスしたドキュメンタリー。
ダンサーとして多くの人を魅了し、史上最年少で英国ロイヤル・バレエ団のプリンシパルとなった彼は、人気の絶頂で電撃退団。その後の苦悩と再生への道のり、支え続けた家族との関係などを追いかけ、かなり踏み込んだ内容となっています。
もちろんポルーニンの素晴らしいダンスシーンも見られます! 日本公開時、興収1億を超えた大ヒット映画です。
監督:スティーブン・カンター
出演:セルゲイ・ポルーニン
3:『ロパートキナ 孤高の白鳥』(2014年11月21日公開) ロシアの世界的バレエ・カンパニー、マリインスキー・バレエの頂点にいるバレリーナ、ウリヤーナ・ロパートキナ。クラシックバレエで有名な演目『白鳥の湖』を世界で一番美しく踊るバレリーナでもある彼女を追いかけたドキュメンタリーです。
レッスンや舞台、プライベート、インタビューから垣間見られるのは、トップ・オブ・トップのバレリーナの志の高さ。そして美しい踊り。その素晴らしさは映像を通してもしっかり伝わってきます。「白鳥の湖」などはまさに白鳥そのもの! 一度見たら忘れられません。
監督:マレーネ・イヨネスコ
出演:ウリヤーナ・ロバートキナ
4:『ファースト・ポジション 夢に向かって踊れ』(2012年12月1日公開) 世界でも有名なバレエコンクール「ユース・アメリカ・グランプリ」に出場する7人のバレリーナを追跡したドキュメンタリー。
裕福な一家の少年少女もいれば、コロンビアから単身ニューヨークに修行しにやってきた少年、またアフリカで生まれ、反政府勢力に両親を殺された少女もいます。そんな全く別々の環境で育ち、バレエを学んできた少年少女たちが、一つのコンクールに向かって悩み苦しみながらも挑戦。その姿はまさにザ・青春!です。
バレエ好きじゃなくても十分に楽しめるドキュメンタリーとして仕上がっているのは、一つのことに打ち込む彼らの美しさだけではなく、その挑戦を支える家族のドラマもしっかり描かれているから。
日英ハーフの美少女バレリーナ「ミコ・フォーガティ」のママの強烈さ、そのママにお尻を叩かれながらも全くやる気のなさそうなミコの弟・ジュールズのかわいらしさは必見ですよ。 監督: ベス・カーグマン
出演: アラン・ベル、ジュールズ・フォーガティ、ミケーラ・デ・プリンス、レベッカ・ハウスネット、ジョアン・セバスチャン・ザモーラ、ガヤ・ボマー・イェミニ、ミコ・フォーガティほか
(C)First Position Films 2011
5:『エトワール』(2002年3月30日公開) 完璧な階級社会の中でバレリーナたちが切磋琢磨している姿を描いた本作。一つのバレエ団の裏側をこれだけ克明に描き、バレリーナたちが、ストイックな生活と将来への不安とライバル心などを赤裸々に話しているのにビックリ。
最高位のダンサー・エトワールを頂点にして見事なピラミッド型を形成しているシステムゆえに、上へ上がらないといい役がもらえないという焦りもあり、それに耐えるには、体だけでなく精神的な強さも必要だということが分かります。バレエ愛が相当強くないと耐えられませんね!
規律を守った生活を送り、練習漬けの日々を送るバレリーナたち。華やかなステージ裏の厳しさをリアルに見せてくれるドキュメンタリーです。
同じくパリ・オペラ座を描いたドキュメンタリーには『パリ・オペラ座のすべて』もありますね。パリ・オペラ座の歴史を感じさせる重厚な建築と階級制によるドラマは、映画人を惹きつける魅力を放っているのでしょう。
監督: ニルス・タヴェルニエ
出演: マニュエル・ルグリ、ニコラ・ル・リッシュ、オーレリ・デュポン、ローラン・イレール、エリザベット・プラテル、マリー・アニエス・ジロー、クレールマリ・オスタ、ウィルフリード・ロモリ、ミテキ・クドー、イリ・キリアン、ノエラ・ポントワ、モーリス・ベジャール、藤井美帆
6:『BALLET アメリカン・バレエ・シアターの世界』(1995年3月22日公開) ワールドツアーのレッスンに明け暮れるダンサー、先生、運営スタッフの姿をひたすら追い続けたアメリカン・バレエ・シアターの裏側。ダンサーだけでなく、裏方スタッフにもスポットを当てて「表舞台に立っているのはダンサーだけだが、舞台はキャストとスタッフの芸術への情熱が作り上げたものだ」と語っているかのよう。
運営サイドが公演をどうやって成功に導いていくのか、キャストよりも運営サイドが熱くなっているのはなかなか興味深いです。
アメリカン・バレエ・シアターを俯瞰で眺めることで、いろいろな側面を映し出すことに成功している本作。でもこの映画が伝えていることはバレエだけでなく、エンターテインメント界全体に通じることでもあると感じます。
監督: フレデリック・ワイズマン
出演: アメリカン・バレエ・シアターのダンサーたちほか
アカデミー賞でも話題になったバレエ映画の名作3選
7:『リトル・ダンサー』(2001年1月27日公開) イギリス北部の炭鉱の町でボクシングを習っていたビリー少年(ジェイミー・ベル)がバレエに目覚め、その才能を開花していく物語。もちろんトントン拍子にいくはずはなく、ビリーがバレエの才能を発揮しても、炭鉱で働くガテン系の父親はバレエに大反対し、息子のことが理解できず、ぶつかりあってしまうのです。
彼を支えるバレエ教師、親友とのふれあい、頑固な親父との絆、母親とのエピソードなど、主人公がバレエに青春をかける姿とともに家族関係も丁寧に描いたことで、普通のサクセスストーリーよりもグッと深みを増した作品となっています。
大人になったビリーをバレエダンサーのアダム・クーパーが演じているのも注目!
第73回アカデミー賞では監督・助演女優賞・脚本賞にノミネートしました。
監督: スティーヴン・ダルドリー
出演: ジェイミー・ベル、ジュリー・ウォルターズ、ゲイリー・ルイス、ジェイミー・ドレイヴン、ジーン・ヘイウッド、スチュアート・ウェルズ、アダム・クーパー
8:『ブラック・スワン』(2011年5月13日公開) ニューヨークのバレエ・カンパニーに所属するニナ(ナタリー・ポートマン)が『白鳥の湖』で白鳥と黒鳥に抜擢されたことから、彼女の精神が常軌を逸していくというサイコスリラー。
黒鳥を演じることに多大なプレッシャーを感じるニナが、実力派の新人バレリーナの存在に翻弄されたり、性に開放的になっていったり、まさに黒鳥に精神が侵されていく様を絶妙な恐怖演出で魅せていきます。ヒロインが現実と妄想を行き来する様は、壊れゆく人を見ているような怖さがありゾッとします。
ニナの精神世界が映画の核であり、バレエ界のダークサイドを恐怖演出で描いた本作で、ナタリー・ポートマンは第83回アカデミーで主演女優賞を受賞しました。
監督: ダーレン・アロノフスキー
出演: ナタリー・ポートマン、ヴァンサン・カッセル、ミラ・クニス、バーバラ・ハーシー、ウィノナ・ライダーほか
9:『愛と喝采の日々』(1977年11月18日公開) バレエを諦めて家庭に入ったディーディー(シャーリー・マクレーン)とバレリーナとして人気を博したエマ(アン・バンクロフト)が、お互いに抱いていたわだかまりをぶつけあい、友情を確認する物語。
恋愛、結婚、妊娠はバレリーナにとって人生のターニングポイント。結婚して母親になっても「あのときバレエを選んでいたら」と人気バレリーナのエマをねたむディーディー。そこにはバレリーナならではの葛藤が描かれています。
そんな熟年世代の女性の友情を味わいつつも、往年のバレエファンが歓喜するダンサーたちの踊りも見られるのがこの映画の旨み。その一人ミハイル・バリシニコフは、ディーディーの娘エミリア(レスリー・ブラウン)の恋人役として登場します。ちなみにレスリー・ブラウンもアメリカン・バレエ・シアターのバレリーナ。達者な芝居を見せて、第50回アカデミー賞助演女優賞にノミネートしました。
監督: ハーバート・ロス
出演: シャーリー・マクレーン、アン・バンクロフト、ミハイル・バリシニコフ、レスリー・ブラウン、トム・スケリットほか
多彩なバレエ映画4選!ドキュメンタリーとフィクションがドッキング?
10:『バレエ・カンパニー』(2004年7月24日公開) 実在するバレエ団を舞台にしたバレエダンサーたちの群像劇。一つの公演が出来上がるまでのバレリーナたちの苦悩が描かれます。バレリーナの恋愛や情け容赦ない交代劇など、臨場感あふれる演出でバレエ団の真実を映し出す……。主演のネーブ・キャンベルが自ら企画を売り込んで作り上げた作品であり、元バレリーナの彼女は代役なしで踊っています。
監督: ロバート・アルトマン
出演: ネーブ・キャンベル、マルコム・マクダウェル、ジェームズ・フランコ、バーバラ・ロバートソン、スージー・キューザック、ウィリアム・ディックほか
11:『ダンシング・チャップリン』(2011年4月16日公開) フランスの振付家ローラン・プティが、ルイジ・ボニーノのために振り付けたチャップリンをモチーフにした『ダンシング・チャップリン』。この作品を周防正行監督が映画化。
プティやボニーノへの依頼やレッスン風景を映し出した第一幕と、本編の第二幕で構成された異色のバレエ映画。周防監督のバレエ愛と、この映画のヒロインであり妻である草刈民代への愛がたくさん詰まった作品です。
監督: 周防正行
振付: ローラン・プティ
出演: ルイジ・ボニーノ、草刈民代ほか
12:『センターステージ』(2001年5月12日公開) アメリカン・バレエ・シアターの研修生になったヒロインが、恋愛や挫折を乗り越えて卒業公演に挑む姿を描いた作品。嫉妬や羨望、苦悩を描きつつも前向きな勢いを感じる青春映画でもあります。卒業公演のシーンではバレエを存分に堪能できますよ。
ヒロインのアマンダ・シュルはこの映画をきっかけにバレリーナから女優へと転向。またこの映画は2008年に続編『センターステージ2/ダンス・インスピレーション!』も制作されました(日本未公開)。
監督: ニコラス・ハイトナー
出演: アマンダ・シュル、ゾーイ・サルダナ、スーザン・メイ・プラット、サシャ・ラデッキー、シャキーム・エバンズ、イーサン・スティーフェル、イリア・クーリックほか
13:『ホワイトナイツ/白夜』(1986年4月26日公開) ソ連からアメリカに亡命したダンサーとアメリカを捨てた黒人ダンサーが交流を深めていき、囚われの身からの脱出を試みるサスペンス映画。バレエ映画とは趣が異なる作品ですが、主人公を演じたミハイル・バリシニコフ、黒人ダンサーを演じたグレゴリー・ハインズともにダンサー。二人が踊るシーンは圧巻で、映画史に残るバレエの名シーンと言ってもいいほどです。
監督: テイラー・ハックフォード
出演: ミハイル・バリシニコフ、グレゴリー・ハインズ、イザベラ・ロッセリーニ、イエジー・スコリモフスキ、ヘレン・ミレン、ジェラルディン・ペイジ、ジョン・グローバー、マリアム・ダボほか
バレエ公演で鑑賞するのがバレエファンの王道でしょうが「ちょっと興味がある」というビギナーは、まずはバレエ映画から入ってみては?
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