「絵本はおはなし会で読んでもらうもの」は間違いです
図書館や子どもの本を扱う書店で、最近よく見かける光景があります。子どもがお母さんに「この本読んで!」と訴えると、おかあさんは 「おはなし会で読んでもらいなさい!」と応えるのです。そんな光景を、何度も何度も見かけるうちに、ちょっと心配になってきました。もしもお母さん方が、絵本はおはなし会で読んでもらえば事足りると思っているのなら、それは大きな間違いです。絵本は1対1で読んでもらうようにできている
絵本とその他の本の違いを知れば、どう読めばよいかが見えてきます
残念ながら、どちらも不正解です。例えば、幼年童話の中には、絵本と同じような挿し絵があるものがありますし、絵本よりも大判で大人向けの書籍もたくさん あります。ですから、大きさや絵の有無で両者を分けることができないのは明らかです。では、絵本と絵本以外の書籍には、どのような違いがあるのでしょう か?
両者の違いは、誰かに読んでもらうことを前提に作られているかどうかにあります。絵本以外の本が自分で読むように作られているのに対し、絵本は、読者であるお子さん以外の第三者に読んでもらうことを前提に作られています。もちろん、最近の大人向けの絵本などのような例外もありますが、少なくとも子ども向けに描かれた絵本は、全てだれかに読んでもらうことが前提になっているといってよいでしょう。
しかも、読んであげる相手の人数は、決して大勢ではなく、1人かせいぜい2~3人くらいを想定して作られています。それは、絵本の大きさを見れば納得していただけますね。(おはなし会で使用するビッグブックは、おはなし会のために作り直された特殊なもので、その原作は通常の判型のものばかりです。)
1対1(または1対2~3人)で、互いの体温を感じながら絵本を読めば、読み手と聞き手の間に、絵本を介しての感情や言葉の交流が生まれて きます。お互いの体温を感じながらのこの交流は、子どもだけでなく大人にとっても楽しく幸せなものです。この相互のコミュニケーションこそが、他の本では 味わえない絵本の醍醐味の1つなのです。
>> 次では、「絵本の醍醐味」から見た「おはなし会の弱点」について考えます