マネジメント/組織マネジメントとは

「実績」を評価させる「目標」の重要性(2ページ目)

我々が常々口にする「目標」とは何なのか。「目標」を定める意味とは何か。「実績」との関係性において明確化される「目標」を定めることの意味を、組織マネジメントの観点から考えてみましょう。「目標」なき組織の実例とも言えるゲーム配信大手企業グリーが最近とった行動に寄せられた疑問の声に関しても、この観点から明らかにします。

大関 暁夫

執筆者:大関 暁夫

組織マネジメントガイド


「来期予想」を提示しなかったグリーに寄せられた疑問の理由

上場企業の場合、「目標」は決算発表時に「来期予想」として一般に開示されます。その「目標」に対する評価は、四半期ごとおよび決算発表時の「実績」開示を受け、「目標」に対する「実績」の達成あるいは未達成が明らかにされることで下されます。さらには達成、未達成いずれの場合も、その達成、未達成の率に関して過去との比較がおこなわれることで、今期の「実績」に対するより詳細な評価が下されることになります。「実績」評価はそのまま、経営者の組織マネジメントに対する評価でもあり、この「実績」評価如何によっては経営陣が責任をとる形で交代の憂き目に会うこともあるわけです。

解説

「来期予想」を開示しないグリーには投資家から疑問が投げかけられている

先日、携帯向けゲームサイト運営大手のグリーが2013年6月期の決算発表をおこないました。上場来初の赤字決算発表であったその際に、「来期予想」の公表をしないという異例の行動をとるという「事件」がありました。この件については、アナリストや投資家から疑問が投げかけられています。同社はその理由を、「事業の選択と集中の進み具合などで業績が変動する可能性があり、現時点で合理的な算定ができない」と説明しているのですが、自然災害や市況激変等外的環境要因以外の理由で業績予想を非開示とするのは事業継続疑義が指摘された企業以外では極めてまれな例であり、業績予想開示緩和の曲解ではないかという疑問です。

このような疑問が投げかけられるのは、「目標」である「来期予想」が組織当面の計数的な到達点であると同時に「実績」を評価する際の必要不可欠な基準でもあるからに他なりません。したがって、外的経営環境激変といった特殊事情以外の理由で来期「目標」を掲げないということは、株主や投資家に対する組織マネジメント上の責任放棄、あるいは株主や投資家からの組織運営に対する評価の拒否とも受け取られかねないのです。「目標」の提示は組織の大小にかかわらず、組織を引っ張る立場にある者が成長路線をめざす前向きな組織運営を考える上においては、必要不可欠な要素なのです。
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