最初に日本トップ企業を受けたことが最大の経験値となった
その後も日本に帰国した際には、海外大生向けの就職フェアのようなイベントを中心に就職活動を進めた。海外大生には海外大生専用の就職イベントがあり、多くの海外志向の強い企業と出会うことが出来た
ちょうど自分の卒業時期が企業の募集枠に当てはまるようになった頃に参加した就職フェアで、自分は腕試しに1社だけ企業の選考を受けてみようと思った。
1社のみと決めていたのでどこの会社にしようかと思ったが、せっかくなら日本最強企業にしようと思い「トヨタ自動車」のブースにエントリーシートを会場で提出した。
当日は2004年でアメリカのGMを抜いて、トヨタが世界の自動車販売台数でNo.1になった時だったので、日本でもまさに「世界No.1のトヨタ」というブランドが定着している時だった。もしトヨタを受けてダメだったら大手企業は難しいから諦めよう、そんな風に思っていた。
すると奇跡的にその時提出したエントリーシートが通り、その日のうちに会場で面接が出来た。面接官とブースで面接をし、色々と会話をした後に最後「合格者には後日連絡をさせて頂き、最終面接は弊社の本社がある愛知県豊田市に来て頂きます」と言われた。その後の一言で「たぶん、ご連絡すると思います」と言われたのが印象的だった。
その後私は北海道に帰省していたが、その言葉通りトヨタ自動車から連絡があり、最終選考を受けるために愛知県豊田市に行くことになった。
1日かけてさまざまな選考を行い、最後は当時の人事部長とも面接を行って、全力を出し切った充実感に浸っていた。しかし、選考結果は不合格だった。その時は納得がいかずに、自分がなぜ不合格になったか理解できなかったが、後々落ち着いてトヨタ自動車の組織風土などを知るうちに自分が落ちた理由が納得が出来た。
年功序列型賃金制度。
終身雇用。
一度勤めたら定年までその組織で働き通す、まさに日本型経営を行っている会社だった。ふと自分が面接で「将来は独立して自分の力で食べていきたいです」と熱く語っていたのを思い出した。不合格になって当然だと思った。
しかし就職活動の初期にトヨタ自動車という日本トップ企業を受けたことで大きな収穫を得た。
1つは日本のトップ企業1社の最終選考までいけたことで、自分の相場感を掴むことが出来た。大手企業を受けてもある程度は評価してもらえる。そう確信することが出来た。
そしてもう1つはどんなに面接で自分を熱く語っても、自分の価値観やキャリアビジョンと組織風土や求めている人物像が合わなければ、まったく結果には結びつかないということ。だからこそ有名無名問わず、自分に合う会社を探そうと決心できた。
この「自分の相場感を掴むこと」と「自分に合う会社を探すこと」という点が、今の日本の就活生には欠けている。
大手企業の1次面接も通らないのに、引き続き大手ばかり受け続ける学生。
自分の憧れの業界、企業を一生懸命受けるが、興味とは別に自分に合うかという視点が欠けている学生。
自分は偶然にもその2つの視点を日本にいる間に養うことができ、いよいよ自分にとって就活の本番をアメリカで迎えることになる。