ライバルはVWティグアン、BMW・X1など強敵揃い
日本に再上陸したフォーカス、そして今回2代目にスイッチしたクーガは、ひとつのフォードである「ONE Ford」を掲げるグローバルモデル。フォーカスと同様、「C-car」プラットフォームを使うSUVだ。
先代クーガは、日本では2010年10月に発売された新しいSUVで、わずか3年で新型にスイッチしたことになる。購入時期や納期によるが、ユーザーはこれから初回の車検を迎えるので、買い替えも促せる導入タイミングともいえるだろう。
エクステリアは、「動的な」という意味の「キネティック・デザイン」を掲げる最近のフォードらしい。躍動感あふれるスタイリングは彫刻的でもあり、台形をモチーフとしたデザインを随所に採り入れることで、動きのあるデザインの中でも安定感を抱かせる。
スリーサイズは全長4540×全幅1840×全高1705mm。全長は95mm長くなったが、全幅は10mmだけ狭くなっており、全高も10mm低くなっている。最小回転半径は5.8mから5.6mに小さくなり、全長こそ延びたが、狭い場所での通り抜けや取り回しのしやすさは若干向上しているはずだ。
ライバルはVWティグアン、BMW・X1、ランドローバー・フリーランダー2あたりで、価格はかなり高くなるが、サイズ的にはアウディQ3、メルセデス・ベンツGLKあたりもサイズ的には近い。
このサイズで1.6Lターボを積む!
さて、新型クーガは躍動感あふれるデザインをはじめ、全長の延長による居住性、積載性の向上はもちろんだが、最大のトピックスは1.6Lの「EcoBoost(エコブースト)」エンジンの搭載だ。
このクラスのSUVに1.6Lと聞くと、いまだ排気量信仰の根強い日本では驚かれるかもしれないが、欧州では「小排気量+ターボ」の組み合わせがもはや一般的になっていて、182ps/240Nmは、先代の直列5気筒ターボの2.5Lの200ps/320Nmと比べると出力、トルクともに見劣りするが、燃費は20%超アップしているという。
トランスミッションは5ATから6ATに多段化され、駆動方式は新設計されたインテリジェントAWDで、「100:0~0:100」間で駆動配分を自動制御する。
気になるパワー面は?
試乗のメインステージは急勾配が続く箱根ターンパイクだったが、普通の流れはもちろん、先行車を追い越し車線でパスする際もほとんどパワー不足は感じさせず、パワー面でのダウンサイジングの影響は最小限という印象だ。
こうしたワインディングだとパドルシフトが欲しくなるが、フォーカスと同じく残念ながら未設定で、シフトレバーを「S」に入れるか、左手の親指で操作するスイッチでのマニュアル操作になる。パドルシフトがあっても使わない人には不満はないだろうが、現在の愛車に付いている人はもの足らなく感じるかも。
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