手段的日常生活動作(I.A.D.L)訓練の内容
先にも述べましたが、在宅生活、在宅復帰を念頭に訓練を進めていく場合、どのぐらい自立して生活を送れるのか? どのぐらい介護が必要なのか? を考え、より高度なレベルの生活訓練を提案します。電話の利用
自分から電話番号を調べて電話をかける。かける事は出来ないが電話にできる事ができるか? などを判定し、能力に合わせ指導する。
家事
食事の準備、買い物、洗濯、掃除など、それぞれ実際に行ってもらい、一人で行えるだけの能力があるのか? 介助が必要ならばどの程度の介助が必要なのか? を判定し、能力に合わせ指導する。
服薬管理
指定された時間に正しい量の薬を飲む事が出来るのか? もしくは事前に介助者が準備する必要があるのか? などを判定し、能力に合わせ指導する。
移動
交通法規を理解し、自動車を運転できるのか? 公共交通機関の利用をスムーズに行えるのか? などを判定し、必要に応じて自動車の改造の提案、公共交通機関の利用方法等の指導を行う。
金銭管理
生活における必要資金の管理。銀行などの金融機関とのやり取りの能力を判定し、能力に応じた指導を行う。
訓練で動作が出来ても、生活でできなければ意味がない
日常生活動作(A.D.L)にしても、手段的日常生活動作(I.A.D.L)にしても、実際の生活ではどのように行っているのか? また、どの程度までできるのか? を作業療法士は見極め、その能力に応じた訓練を提案していきます。訓練は徐々に課題レベルを上げたり、環境を整えることで実行できる事を増やしていきますが、その中で特に重要なのは、訓練で動作ができても、実生活で目的とした動作ができなければ意味がない。という点です。実生活の中で動作が生まれてこその応用動作訓練です。訓練が目的になっては本末転倒。作業療法士はそういった視点で訓練を指導し、サポートしていきます。続けて、次の理学療法士(PT)と作業療法士(OT)の違い(3)では、社会的適応力の訓練などについて、ご紹介していきます。