20世紀のダブリンを伝えるリトルミュージアム
ジョージアンハウスにあるミュージアムという点もユニーク
ダブリン市民の憩いの公園、セントスティーブンスグリーンに面したカラフルなドアがかわいらしいジョージアンハウスの一角にあるリトルミュージアム。その名の通り、まさに小さなミュージアムで、一階はテンポラリーエキシビジョン、二階は市民の寄付により集められた品々を通してダブリンの20世紀の歴史、当時の人々の暮らしやその頃活躍した著名人のユニークな一面を伝える常設展になります。
貴重な品々がこともなげにおしゃれに配された部屋からツアーは始まる
こちらのミュージアムは2011年の春にオープンしたばかりとあって、ダブリンの中でもかなり新しいのですが、貴重な収蔵品の数々、ユニークな視点の展示方法、アイルランドの歴史のエキスパートともいえるガイドによるツアーが好評で、人気のミュージアムになっています。
ツアーは英語ですが、かなり濃い話がたくさん聞けるので、興味のある方はぜひ参加してみてはいかがでしょう。もちろん、ガイドツアーぬきで館内を自由に見て回ることもできます。今回はガイドが参加したツアーから、ミュージアムの収蔵品をハイライトでご紹介します。
文豪シリーズ
アイルランドの文豪たち、さぞかし難しい人たちかと思いきやそうでもない?
人口500万人以下の小さな国としては異例なほど、数多くの文豪を生み出しているというアイルランド。こちらのミュージアムにも文豪関連の貴重な品々が多くあります。
イエーツのノーベル賞受賞時の写真とエピソード
イエーツのサイン入り、ノーベル賞受賞当時の写真
こちらの写真はアイルランドの詩人・劇作家のひとりウィリアム・バトラー・イエーツがノーベル文学賞を受賞したときのものだとか。面白いのが、彼が受賞を知った時に発した言葉。ありがとうでもうれしいでもなく「How much?」だったそうですよ。ユーモアあふれるアイルランド人らしいですね。
ベケットから少年への手紙
カードの裏も表も読めるように工夫された展示。こんな部分からもミュージアムの姿勢が伺える
アイルランドのもうひとりのノーベル賞作家サミュエル・ベケット。彼が昔住んでいたという家に住む少年が、自由研究でベケットに手紙を書いてみたところ、律儀にも返事がきたということでこちらも展示されています。
返事をくれたというエピソードだけでも、ベケットっていい人、と思ってしまうのですが、さらに面白いのはその手紙の結び。「もし家にいるオバケに会うことがあったら、よろしく言っといてね」。作家ってやっぱりウィットに富んでいますよね。
ジョイスのデスマスクと「ユリシーズ」の初版本
最後のページまでたどり着ける人はごく一部? 「ユリシーズ」の初版本
ユリシーズで有名なジェームス・ジョイスのデスマスクもこちらに飾られています。その近くにあるのは長く難解で途中で挫折する人多数というジョイス著「ユリシーズ」の初版本。
ジョイスのデスマスクとポートレート
最後のページまで読める人はごくわずか、ということで、挫折したすべての人のために最後のページが展示されています。このミュージアム全体にいえることなのですが、このように展示の仕方や意図がユニークで、訪れる人が興味を持って展示品の数々を見れるようによく工夫されていると思いますので、ぞんな点にもぜひ注目してみてくださいね。
次のページでは、アイルランドの独立をめぐる貴重な資料も登場!