第2位
とにかくパワフルでエネルギッシュ。音楽にがっつりハマれる
オーディオテクニカ SOLID BASS ATH-CKS77X

ATH-CKS77X

圧倒的な重低音を奏でる「ATH-CKS77X」

もはや説明の必要もないでしょう。国産ヘッドホン・イヤホン界のメインイベンター、オーディオテクニカの個性派モデルです。「SOLID BASS(ソリッドベース)」の愛称からイメージされるとおり、大迫力の重低音再生を徹底的に追求したモデルになります。

かなりコンパクトなハウジングの最前部には、このハウジングに収まるサイズとしては限界に近い、直径12.5mmのダイナミックドライバが搭載されています。さらに、ハウジング後部に加え、オーディオテクニカのロゴがあしらわれた、一見ケーブルを装着するための筒のように見える部分も、内部に独立したチャンバー(空気室)が設けられた「エクストラチャンバーメカニズム」を構成しています。高純度のアルミ素材を精密に切削加工しているそうで、価格の安さに似合わぬ高級感と品質感がありますね。

さて、気になるサウンドのほうですが、試聴してみて驚愕。これが希望小売価格8925円、実売たった6000円台のお手頃イヤホンが奏でる音なの!?と思わず笑ってしまいました。低音がもりもりと湧き出すように迫ってくるのはもちろんですが、その音が筋肉質でビートが効いているのです。運動不足の巨漢がぼよーんとぶつかるのではなく、室伏広治がガツーンとぶつかって来るような、そんなイメージ。これは文句なくご機嫌です。

対する中高音は、音量、切れ味とも中低音に比べ控えめながら、スピーカーの前に布でもかぶせたかのような寸詰まり感はありません。重低音特化型モデルのわりには物足りなさを感じさせずしっかり鳴ってくれます。繊細さや空気感はそれなりですが、この価格でそこまで望んだら罰が当たるでしょう。コストパフォーマンスの高さを評価し、2位に挙げさせていただきました。

ATH-CKS77X

オーディオテクニカ ATH-CKS77X

■オーディオテクニカ SOLID BASS ATH-CKS77X
【主要諸元】
型式:密閉型、ドライバ:12.5mm、出力音圧レベル:106dB/mW、再生周波数帯域:5Hz~25,000Hz、最大入力:100mW、インピーダンス:16Ω、質量:約7g(コード除く)、ケーブル長:約120cm

希望小売価格:8925円

 

第1位
表情豊かな中高域と密度感のある低域を持つ好バランスモデル
オーディオフライ AF78

AF78

BA型とダイナミック型を組み合わせた「AF78」

オーディオフライって何?と首をかしげる方がいらっしゃるかもしれません。筆者も、昨年開催されたエレクトロニクス展示会「CES 2012」への出展の話題を見かけるまでは、その存在を知りませんでした。どうやらオーストラリアで数年前に生まれた新興メーカーのようで、本国の公式サイトを見ると、2011年後半に発表されたイヤホンのシリーズが最初の商品だとのことです。もちろん今回のリリースが日本初上陸となります。

ラインナップは、ダイナミック型ドライバ搭載のモデルが3種類。そして最上位機種に、BA(バランスド・アーマチュア)ドライバとダイナミックドライバを組み合わせた「AF78」があります。今回はそのAF78をお勧めモデルとしてピックアップしました。なお、本機にはマイクとリモートボタンを装備したモデルも用意されています。

本機は、耳の穴にもっとも近いイヤチップ部分の内部にBAドライバを搭載。サウンドが鼓膜まで最短距離でストレートに到達する設計になっています。9mmのダイナミックドライバは、ハウジング後部のぷくっと膨れた場所に搭載され、BAドライバの周囲にあるスキ間を通過する形で低音を届けているようです。試聴前は、この構造で音の暴れが出ないのか、低音の迫力が損なわれないのか、と心配しましたが、実際に聴いてみたら意外や意外。予想を覆すサウンドバランスの良さと滑らかな中高音の高い質感に驚かされました。

耳の穴にBAを突っ込んで聴くわけですから、カリカリと硬質で脳味噌に刺さるような激しい音になりそうですが、そんなことはありません。BAらしく分解能に優れた繊細な表現力と、風が吹き抜けるように爽やかでキレのいい味わい、しっかりした空気感をたたえながら、トゲトゲ、キンキンした嫌味な中高音は一切見せないのです。

低音の音作りは、クリアな中高音に負けじとガンガン前に出てくる押しつけがましさがなく、量感をそれなりに保ちながらあくまでもサポート役、基礎固めに回っている感じです。低音の迫力重視でイヤホンをお探しの方には物足りないかもしれませんが、音圧自体はしっかり確保されていますし、リズムがモタ付いたり低音の塊がどよ~んと澱んだり、の鈍重な音ではないのが好印象。音場の広がりやハッとさせるような個性派はもうちょっとあってもいいかな、とは思いますが、女性ボーカル、小編成のジャズ、ちょっと古めのプログレなどさまざまなソースを試してみても、おおむね好バランスで鳴らし切る優等生でした。

もう一点、印象が良かったのは「オーディオフレックス」と名付けられたケーブルです。強靭なケブラーを組み込み、「CORDURAR」という丈夫なファイバーを編み上げてシールド仕上げを施した材質で、やや太く丸めにくいので携帯には不利ですが、タフに使い込んでも頼りになりそう。肌触りもいいですね。

今回は第1位に選びましたが、圧倒的な首位というほど突出したモデルではないかもしれません。価格を考えればこの音で当然かなとも思えます。今回の1位は、個人的な音の好みに加え、イヤホン市場を盛り上げたニューカマーへのエールも含まれているとお考えください。2位以下のイヤホンが劣っている、なんてことは絶対にありません。

AF78

AUDIOFLY AF78


■オーディオフライ AF78

【主要諸元】
型式:密閉型、ドライバ:BA/9mm、出力音圧レベル:108dB/mW、再生周波数帯域:18Hz~22,000Hz、インピーダンス:16Ω、ケーブル長:約120cm

実勢価格:2万5400円



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