ワークライフバランスの本当の意味、理解していますか?
まだ見ぬ赤ちゃん、家族のために働き方をどうするか……。悩む女子就活生は多い。
しかし私は新卒の就活時に「ワークライフバランス」を重視しすぎ、「そこそこの仕事」を選択することこそ、その後の人生のリスクが高くなると考えています。なぜなら、キャリアの伸びしろが一番ある20代という大切な時期に、自ら成長の機会を逃してしまうのでは?と思うのです。実際に「そこそこの仕事」を選んだ結果、30歳を前に「こんなはずでは……」という女性の声をカウンセリングではよく聞きます。
日本ではワークライフバランスを「仕事と家庭のバランスを取ること」「仕事をそこそこにしてプライベートを充実させること」と思っている人が少なくありません。そのため女子就活生のなかにも、まだ見ぬ将来の家族のために「そこそこの働き方ができそうな職業」を選んでいる人が最近増えているというのが私の実感です。
しかし、ワークライフバランス叶えるということは、ずーっと働き続けるということ。つまり、社会人になって40年近くは働き続けるということです。その40年をあなたはどう過ごしたいですか?
ワークライフバランスの本質を理解しているかいないかで、特に女子学生は就活とその後の社会人人生が大きく変わります。
今回はワークライフバランスが求められている背景を解説します。
それを踏まえ、どのような心がまえで就活をすればいいのか、社会人としてのキャリアデザインをどう描くのかを考えてみてください。
労働人口の減少による女性の活用
ワークライフバランスが求められている一番の社会的背景には、少子高齢化による労働人口の減少があります。労働人口が減るということは、GDP(国内総生産)が減るということ。たとえるなら、日本という国を一つの企業と考えたとき、売上が減るということです。すなわち、日本は今、国際競争力が低下する局面に立たされているのです。その処方箋として、まだまだ活用されていない女性の労働力に注目が集まっています。日本の女性は高い教育水準を受けながらも、経済および政治の世界での活躍が遅れており、先進国のなかではその活躍度は下位というデータがあります。IMF(国際通貨基金)のレポートでは、そのような日本の女性が欧米の先進国の女性並みに働くことで、一人あたりのGDPが4~5%成長することが試算されており、まさに女性を活用しない手はない!といった状況なのです。
また、第一子出産を機に退職する女性は6割といわれており、企業は結婚・出産を迎える優秀な女性が退職しないよう、産休・育休制度などの働き続けられる環境整備と長時間労働の見直しを急いでいるのです。
専業主婦にはなれない?!
しかし、本当に「女性の労働力活用」といったお題目だけで、女性が働き続けるのでしょうか?現実には、働き続けなければならない人が増えているといった方がよいのかもしれません。IT技術の進化やグローバル化による産業構造の変化により、企業は人件費の流動化をすすめ、ますます非正規雇用は拡大しています。そのため、若い世代の所得が10年前に比べ減っているのです。総務省の就業構造基本調査をもとにNHKと三菱総合研究所が作成したデータによると、35歳男性の年収が10年前に比べ200万円も減少しているといわれています。1997年の30~34歳男性の所得は1997年は500~599万円が最多層だったのに対し、2007年は300~399万円が最多層となっています。
さらに、経済のグローバル化による競争と変化の激しい時代では、企業の寿命は10年ともいわれています。つまり、夫の収入だけに頼るというのはハイリスクといえるのです。これらのことから、女性が働き続ける理由には結婚して子供を持っても、夫一人の収入では家族を養っていけないという現実があるようです。
実際、下のグラフからもわかるように現在では専業主婦世帯(グラフ赤)を、共働き世帯(グラフ青)が上回っています。
ここまでで、ワークライフバランスが今の日本で求められている背景についてはご理解いただけたと思います。
実践編ではワークライフバランス時代において、女子就活生はどのような心構え、視点で職業や企業選択をしておけば、真のワークライフバランスが叶えられるのかを考えたいと思います。