第四の消費時代の住まいとは

「これからの賃貸住宅はタテとヨコのつながりが大切になる。タテのつながり(歴史)を重視する。新しいものでなく、昭和レトロとか古民家とか、あえてな古いものの中に楽しさや価値を見出す若者世代が増えている。そして彼らはヨコのつながり(人間関係)も同時に重視しています」

では、なぜこういう変化が起きたのでしょうか?

三浦氏

シェアハウスの歴史的背景について説明する三浦氏

「私は『第四の消費』と呼んでいますが、物から人へ、日本人の豊かさが変わってきた。私有からつながりへ。私有だけでは幸せになれないことがわかった。高度成長期時代のマンションの広告には『3Cのある3LDK』と喧伝されましたが、その時代の3Cとはカー、カラーテレビ、クーラーでした。しかし、今シェアハウスに住んでいる20-30代の若者に3Cを聞くと、こんな答えが返ってきます。コンビニ、コミュニケーション、コラボレーション…だと。この変化です」

また、ひつじ不動産の北川大祐社長は需要拡大の背景について、こう話します。

「一言で言えば、成熟した単身層の出現です。経済力も社会性もあり、複数年にわたる一人暮らしの経験もある。しかしこれまでの持ち家・賃貸業界はファミリー層や学生にしか目を向けておらず、非婚晩婚でどんどん巨大化していくこの層に対する豊かな住宅提案がなかったのです」

では現代版シェアハウスの利点とは? 三浦氏によると、

1.様々な個性……一軒一軒異なる外観・インテリア
2.エコノミーでありエコロジー……初期投資が少ない(家電家具食器あり)、維持費が少ない(水道光熱費は管理費込み)
3.コミュニティ……さびしくない、おしゃべり仲間、いろいろな人と出会える、助け合える
4.セキュリティ……防犯・防災・病気の時など安心

…と言い、「このメリットは今は20~30代の若い世代に受けているものかもしれないが、今後、非婚未婚少子高齢化で老若男女にとってのメリットになるはず」とも。

若者だけのものではなくなるシェアハウス

実際、ひつじ不動産のデータによると、
・問い合わせ者の平均年齢は28.9歳で年々上昇(20代前半→20代後半にシフト)
・30代が増えていて、雇用形態としては正社員が増えている
・男性:女性=3:7と圧倒的に多いのは女性だが、ここ2~3年は男性が増えている
・これは女性専用物件が増えている(需要も多いしオペレーションしやすい)という供給側の理由
・シェアハウスの平均居住期間半年

ひつじ

ひつじ不動産の講演

…という概要が見えてきます。では最後に、昨今社会問題化しているシェアハウスのトラブルについて。どうしたら防ぐことができるのでしょうか? 北川氏によると、

・ネットやクチコミ、友人の話など、しっかり下調べをする
・事業者が介在していれば、その安心信頼度を確かめる。たとえばコンプライアンス(法令順守。建築基準法や借地借家法、旅館業法など)がしっかりしているかなど。

…とのこと。2030年、未婚・死別・離婚などの日本のおひとりさま人口は全人口の半分4911万人にのぼり、その率が最も多いのはなんと85歳以上だとか。誰もが助け合わなければ一人で最後までは生きられない時代の「住まい」を考える時に来ているようです。
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