プロアマを問わずすべてのゴルファーの鏡「トム・ワトソン」
長年キャディを務めてきた、ブルース・エドワーズを亡くし、勝つことが全てだったゴルフから、一日一日を全力で生きること、些細なことでイライラしないことに変化した
トム・ワトソンと言えば、有名なのがリンクスに強いこと。グリップを握る強さを変えてボールをコントロールすると言われています。リンクスとは、海に面した平坦なコースですが、海風に鍛えられた深いブッシュやポットバンカー等があり、入るとやっかいなコースです。
スタンフォード大学卒業のワトソンは、1971年にPGAツアーに初参戦。全英オープン5勝、マスターズ2勝、全米オープン1勝といったメジャー優勝が8勝、通算39勝の戦績です。PGA最優秀選手賞を6度受賞、1986年にはUSGA(全米ゴルフ協会)のボブ・ジョーンズ賞を受賞しています。
そんな輝かしい彼が、2009年59歳で挑んだ全英オープン。大会史上最年長優勝記録を142年ぶりに塗り替えるのではないか? と思われるプレーに大勢のゴルフファンが期待を寄せました。最終日、単独首位。しかし最終ホールでボギー。2位のスチュアート・シンクに追いつかれ、プレーオフに……。そこで敗れ、記録を塗り替えることは出来ませんでした。
しかし、彼自身の記録は塗り変わりました。出場資格60歳までとしたこの試合は、彼の偉業を鑑みて特別に彼だけに65歳まで年齢制限を引き上げたのです。
それゆえ、毎年トム・ワトソンがなぜやるか、話題となっている全英オープンです。
彼自身2004年に、長年キャディを務めてきた、ブルース・エドワーズを亡くし、勝つことが全てだったゴルフから、一日一日を全力で生きること、些細なことでイライラしないことに変化したそうです。
2010年の全英オープンでは18歳の石川遼選手と周り、最後に君は素晴らしいとエールを送りました。大先輩からのこの一言に、石川選手は涙を流しました。
彼の生き様はプロアマを問わずすべてのゴルファーの鏡となり、いつまでも楽しめるゴルフを教えてくれています。