行政書士試験/行政書士のキャリア・開業

資格取得後の独立体験記 第9回「栄枯盛衰の道」

言葉やファッションに流行があるように行政書士業務にも流行があります。そこで、行政書士開業初期に比較的多く取り扱った「消費者問題」を取り上げながら、業務の栄枯盛衰についてお話をしたいと思います。

山本 直哉

執筆者:山本 直哉

行政書士ガイド

はじめに

言葉やファッションに流行があるように行政書士業務にも流行があります。そこで、行政書士開業初期に比較的多く取り扱った「消費者問題」を取り上げながら、業務の栄枯盛衰についてお話をしたいと思います。

消費者問題の隆盛

今から10年前の2003年、私が開業をしたころは、行政書士の世界では消費者問題業務が流行していました。消費者問題とは、消費者と事業者のトラブルだと思ってください。

ただ、行政書士は紛争に関与することはできません。また、相手と交渉もできません。ですから、消費者問題と言っても業務は限定されます。そこで、中心業務はクーリングオフでした。クーリングオフとは、一定期間ならば、無条件で申込みの撤回または契約を解除ができる法制度です。

クーリングオフならば相手と交渉する必要がありません。また、その権利は法律上当然に認められます。まさに行政書士にうってつけの仕事でした。特にネットで業務展開をしていた行政書士事務所は、クーリングオフの書類作成と送付代行に力を入れていました。

なぜ流行したのか

なぜクーリングオフの書類作成代行が流行したのでしょうか。それは、おそらくこの仕事が、絶妙な隙間だったからです。

クーリングオフにおける行政書士の報酬は、だいたい一件あたり1万円から2万円前後が相場でした。一方で、弁護士に依頼をした場合は、当時、だいたい5万円前後だったと思います。このように低額な報酬の仕事を専門とする弁護士は、当時多くありませんでした。つまり、行政書士の競争相手がほとんどいなかったのです。
行政書士開業,独立

業務には多かれ少なかれ栄枯盛衰があります。



また、需要がありました。潜在的需要が大きい消費者問題であったために、大きな業務へと発展したのです。さらに、行政書士にとってもクーリングオフは簡易迅速に処理できる仕事でした。

これらの理由により、行政書士がこの分野で活躍したのだと思います。

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