司法書士試験/司法書士試験・勉強法・対策

司法書士試験 合格に必要な勉強時間の目安とは?

司法書士試験に合格するための勉強時間の目安において、「これだけの時間を確保すれば必ず合格できる」ということはありませんが、「最低限これだけの時間は確保したい」というものはあります。そこで、司法書士試験合格に必要な勉強時間を検討していきます。

松本 雅典

執筆者:松本 雅典

司法書士試験ガイド

司法書士試験合格に向けた勉強時間の目安とは

司法書士試験に合格するためには、勉強時間はどれくらい必要?

司法書士試験に合格するためには、勉強時間はどれくらい必要?

これから勉強を始める方にとっては、「司法書士試験は、どれくらいの勉強時間を確保すれば合格するのか?」ということは、気になるところだと思います。
どんな試験でもそうですが、「これだけの勉強時間を確保すれば必ず合格できる」というものはありません。しかし、過去の合格者の勉強時間を見ていくことにより、「これくらい勉強時間を確保すれば合格する可能性がある」ということは申し上げられます。

そこで、この記事では、合格に必要な一般的な勉強時間をもとに、専業受験生の方(お仕事をされておらず試験勉強に専念できる方)と兼業受験生の方(お仕事をされており試験勉強に専念できない方)に分けて、1日または1週間に何時間確保すればよいのかを何パターンがシミュレーションしてみます。
この記事を「今確保できる勉強時間で、次の司法書士試験までに合格に必要な勉強時間を確保できるのか?」、つまり、次の司法書士試験を目指すことが現実的かを判断する“ものさし”としてお使いください。
   

司法書士試験合格に必要な勉強時間は「3000時間」?

昔から、法律知識ゼロから初めた場合の司法書士試験合格に必要な勉強時間は、「3000時間」と言われています。たしかに、一発合格者(司法書士試験に1回の受験で合格する方)の平均的な学習時間は3000時間前後となります。

この記事をご覧になっている時期は人によって様々だと思います。そこで、「15か月前」「12か月前」「8か月前」からスタートしたと仮定して、この3パターンで3000時間確保するために、1日または1週間でどれくらいの学習時間を確保する必要があるのかをシミュレーションしてみます。「15か月前」は、予備校の基礎講座の開講時期が4月(翌年の7月初旬の司法書士試験の15か月前)が多いため選びました。「12か月前」は、単純に1年前です。「8か月前」は、一般的に予備校の基礎講座の最短コースが8か月コースであるため、選びました。

専業受験生の方と兼業受験生の方に分けて見ていきます。

※計算は以下の要領でしています。
・「1か月は30日」としています。31日の月もありますが、計画は少し余裕を持たせたほうがよいため、一律に30日としました。
・時間は小数点第3位以下四捨五入、週は小数点以下切り捨てです。
・専業受験生の方は「日単位」、兼業受験生の方は「週単位」で表示しています。専業受験生の方はどの日でも勉強できますので「日単位」で考えて問題ありませんが、兼業受験生の方は「週単位」で考える必要があります。なぜなら、兼業受験生の方は、仕事のある日とない日で勉強に使える時間が大幅に異なるからです。そこで、1週間で区切れば、勉強時間は一定になります。「土曜日と日曜日が休み」「曜日は週によって異なるが、1週間に2日休みがある」など、大抵の方は1週間で区切ると勉強に使える時間が一定になります。

■15か月前からスタートした場合
司法書士試験合格に必要な勉強う時間の目安

勉強時間(15か月前からスタートした場合)


専業受験生の方は、1日約7時間の勉強時間で3000時間に到達しますので、3000時間確保することは容易です。

それに対して、兼業受験生の方は1週間で約47時間ですが、容易とは言い難い時間です。平日が5日間だとして1日5時間勉強したとしても、土日は11時間ずつ勉強する必要があります(平日5時間 × 5日 + 土日11時間 × 2日 = 47時間)。

■12か月前からスタートした場合
勉強時間(12か月前からスタートした場合)

勉強時間(12か月前からスタートした場合)


専業受験生の方は、1日8~9時間の勉強時間で3000時間に到達しますので、3000時間確保することは可能です。「1日8~9時間」と聞いて、「そんなに勉強するの?」と思われた方も多いと思いますが、一発合格者の方で、1日中勉強できる日に10時間程度勉強しない方に私は会ったことがありません。1日中勉強できる日は15時間程度勉強する一発合格者の方も多くいます。

それに対して、兼業受験生の方は1週間で約59時間ですので、かなり困難な時間です。平日が5日間だとして1日6時間勉強したとしても、土日は15時間ずつ勉強する必要があります(平日6時間 × 5日 + 土日15時間 × 2日 = 60時間)。平日に1日6時間の勉強時間を確保できる会社員の方はあまりいないでしょう。

■8か月前からスタートした場合
勉強時間(8か月前からスタートした場合)

勉強時間(8か月前からスタートした場合)


専業受験生の方は、1日12.5時間の勉強時間で3000時間に到達しますので、これも3000時間確保することは可能であるといえます。前述しましたとおり、一発合格者の方の勉強時間としては標準的です。

それに対して、兼業受験生の方は1週間で約88時間ですので、不可能です。平日は5日間だとして、土日に15時間ずつ勉強したとしても、平日に1日12時間勉強する必要があります(平日12時間 × 5日 + 土日15時間 × 2日 = 90時間)。兼業受験生の方にとっては、あり得ない勉強時間です。
 

兼業受験生の方でも、勉強時間は「2000時間」ほど確保したい

上記で見ましたように、専業受験生の方は「15か月前」「12か月前」「8か月前」いつからスタートしても、3000時間確保することはできます。それに対して、兼業受験生の方は、15か月前からスタートした場合には3000時間確保できるかもしれませんが、12か月前からのスタートでは難しいですし、8か月前からのスタートではまず不可能です。しかし、兼業受験生の方も、まだ諦める必要はありません。「本当に3000時間勉強しないと受からないのか?」と考えてください。

実際に、働きながら一発合格される方はいらっしゃいます。働きながら一発合格される方のほとんどは、3000時間確保できていません。2000時間程度の勉強時間で合格する方がほとんどです。つまり、効率の良い学習をすれば、司法書士試験は2000時間程度の勉強時間で合格できる試験なのです。

それでは、司法書士試験まで2000時間の勉強時間を確保するために、兼業受験生の方が1週間にどれくらいの時間の勉強をしなければならないのかをシミュレーションしてみます(先ほどと同じく、「15か月前」「12か月前」「8か月前」から試験勉強を開始した場合で考えます)。

■15か月前からスタートした場合
勉強時間(15か月前からスタートした場合―兼業受験生の方)

勉強時間(15か月前からスタートした場合―兼業受験生の方)


1週間に約31時間ですので、十分達成可能な時間です。平日が5日間だとして1日3時間勉強した場合、土日は9時間ずつ勉強する必要があります(平日3時間 × 5日 + 土日9時間 × 2日 = 33時間)。

■12か月前からスタートした場合
勉強時間(12か月前からスタートした場合―兼業受験生の方)

勉強時間(12か月前からスタートした場合―兼業受験生の方)


1週間に約40時間ですので、容易とは言えませんが、達成していただきたい時間です。平日が5日間だとして1日4時間勉強した場合、土日は10時間ずつ勉強する必要があります(平日4時間 × 5日 + 土日10時間 × 2日 = 40時間)。

■8か月前からスタートした場合
勉強時間(8か月前からスタートした場合―兼業受験生の方)

勉強時間(8か月前からスタートした場合―兼業受験生の方)


先ほど見た、「12か月前からスタートした場合に、兼業受験生の方が3000時間確保するのに必要な1週間の勉強時間」と同様です。よって、かなり困難な時間です。平日が5日間だとして1日6時間勉強したとしても、土日は15時間ずつ勉強する必要がありました(平日6時間 × 5日 + 土日15時間 × 2日 = 60時間)。

兼業受験生の方が2000時間確保するには、「15か月前」または「12か月前」からスタートした場合は可能ですが、「8か月前」からスタートした場合は困難であることがわかりました。

と言っても、「平日に3~4時間の勉強時間を確保することも容易ではないよ」と思われた方も多いと思います。日本の会社員の方は拘束時間が非常に長いですから、そう思うのも無理はありません。机に向かっている時間で平日に3~4時間確保するのは容易ではありませんが、働きながら合格される方は、出勤前の時間、休憩時間、帰宅後の時間などをかき集め、司法書士試験までは趣味やテレビを観るなどという時間はすべて排除して勉強時間を確保されています。実際に、私の講座を受講し兼業で合格された方は、このようにして勉強時間をかき集め、1日5~6時間勉強していました。もちろん、勉強道具は常に持ち歩き、時間があれば勉強していたそうです。

本記事のシミュレーションは、1日勉強できる専業受験生の方と、土日が休みである会社員の方を例に出しましたが、この例と異なる環境にいる方も多いと思います。本記事のシミュレーションを参考にしていただき、ご自身の環境に当てはめて計算をしてみてください。

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