真夏の夜に聴きたいジャズおすすめ3選
真夏の夜に聴きたいジャズ
第3位 実力派女性ボーカル カーメン・マクレエ 「カミング・ホーム・アゲイン」より「スイート・アリバイ」
カミング・ホーム・アゲイン
この「カミング・ホーム・アゲイン」は、そんなカーメンの中でも特にコンテンポラリーな曲で構成されており、フュージョン音楽に身体ごと溶け込んだカーメンのフレキシブルな感性を楽しめます。
二枚組のCDの全曲がムードのある歌唱ですが、特に二枚目の二曲目にひっそりと置かれた「スイート・アリバイ」の達観した色気はどうでしょう。男の嘘を「スイート・アリバイ」として聞き流そうとする大人の女の苦悩と半ばあきらめの境地が、カーメンの一聴あっさりとした歌唱の中からじわじわと滲みだして、歌の中に生きる彼女のこれまでの苦労を感じ、ぐっとさせられます。
続くピッコロベースソロのバスター・ウィリアムスも好演。カーメンの歌に対して、言い訳をする男の調子の良さまでも表現するかのような、深い中にも聴きやすいソロは秀逸。
このCDでは他にも伴奏陣が、当時のフュージョン界の大立者ばかり。そんな猛者たちが、カーメンに従う様に盛り立てます。夕立の後のひっそりとした時間に聴きたいCDです。
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第2位 デイヴィッド・サンボーン「カジノライツ」より「テーマ・フロム・ラブ・イズ・ノット・イナフ」
カジノ・ライツ/ワーナー・ブラザーズ・オールスターズ・ライヴ・イン・モントルー
現在活躍しているアルトサックス奏者でこの二人の影響を受けていない人はいないとさえ言える最重要ジャズメンです。そしてこの二人に共通するのが、トータル的な曲想づくりというよりも、その刹那的なサックスプレイに重きを置いているということです。
そんなデイヴィッドは、ライブでこそ本領を発揮します。そのライブの中でも、こんなにスリリングなデイヴィッドは他にないと言えるのが、この1981年のスイス、モントルーで録音された「カジノ・ライツ」の「テーマ・フロム・ラブ・イズ・ノット・イナフ」です。
この記念すべき音楽祭で、デイヴィッドのバックを務めたメンバーは、キーボードが「ラーセン・フェイトン・バンド」のニール・ラーセン、ドラムが「イエロー・ジャケッツ」のリッキー・ローソン、ベースがマーカス・ミラー、ヴィブラフォンがマイク・マイニエリ、カッティングギターがロベン・フォード、パーカッションがレニー・カストロという超豪華メンバー。これで燃えないデイヴィッドではありません。
ここでのデイヴィッドはいつも以上の熱気を持って、アルトサックスをあたかも放電のような鮮烈なサウンドで鳴らし切っています。また、それに答える様に、単なるバックバンドではないオールスターチームが徐々にヒートアップしていく様が爽快です。
真夏の暑さを吹き飛ばすのに、このラテンタッチの演奏は最適。屋外で、仲間と一緒に、ライムを絞ったビールでも片手に聴きたい音楽です。
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第1位 超人気フュージョンバンド、ウェザー・リポート 「8:30」より「ブラック・マーケット」
8:30
オリジナルのCDでは、アルフォンソ・ジョンソンが弾いていたベースのパートを、ジャコはいつものように輪郭のはっきりしたサウンドで、自分色に染めながら演奏していきます。
続いて、オリジナルでは多重録音でソプラノとテナーを合わせていたウェイン・ショーターがここでは、テナーを選択、その一番得意なテナーとドラムのピーターアースキンのソロの掛け合いは、まるで真夏の夜空に舞いあがる花火を想わせるスリリングさ。
実際に、演奏終盤では、オリジナルにもあった花火がライブらしくさらに盛大に打ち上げられ、いやがおうにも盛り上がります。
ここでは、オリジナルの緻密なサウンドをかなぐり捨ててメンバー各人が思うがまま、ライブならではの「ブラック・マーケット」を聴かせます。このぶ厚いゴージャスなサウンドが古くからのジャズのスタイル、ワンホーンのテナー・カルテット、つまりは四人で作られていると言う事が驚きです。
特にこのテナー奏者のウェイン・ショーターのソロは、ウェインがジョン・コルトレーンの影響から出発し、アート・ブレイキーやマイルス・デイヴィスのバンドで一気に飛躍、そしてここに至った彼の音楽性の結晶です。ウェインのソロにはもはやコルトレーンは影も形もなく、そこにあるのはウェイン・ショーターの、そしてウェザー・リポートそのものなのです。
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