自分の物件に「愛」を。オーナーには街を創る責任がある。
31日の講演で、衝撃的だったのは、ブルースタジオの大島専務の講演でした。メゾン青樹の青木純オーナーと大島専務のトークセッション。そしてその後の、大島専務単独の講演は、まさに全国のオーナーさんたちに、直球で言えば、ケンカを売る、ぐらいの勢いがありました。「不動産賃貸物件を建てるということは、その街の名士が、街をよくする・暮らしをよくする・共同体をよくするという責任がある」と言う概念。「自己物件・街に対する愛」をもつオーナーと、「自身の生活環境に対する愛」をもつ入居者の、「相思相愛の関係である」という提言は、会場を大きくうならせるものでした。数々のリノベーション事例は、「デザインが優れている」だけでなく「生活やコミュニティが豊かな世界」になっており、納得の講演でした。
空室を満室にするコンサルティングが、管理会社の仕事
今回の賃貸フェアを、大きな歴史の1ページにしたひとりが、賃貸フェア初登場の市萬の西島社長と言ってよいでしょう。これまでの管理会社は、どちらかといえば、すべてが事後対応。管理業務の作業代行のような考え方が多く、「入居は仲介の仕事」というようにポジショニングだったのではないでしょうか?
こうした概念をひっくり返して、「管理会社が困った物件を工夫とアイデアで満室にしていく」という講演は、たくさんの聴衆の心に響きました。そのノウハウはなんと100以上。「空無い(商い)大辞典」といわれるこのノウハウ集は、ただ単に「アイデア集」となっているだけでなく、物件を「診断」し、「診察・改善策提案」し、「実際に実行する」という再現性の高い手法になっていることを、わかりやすく説明されていました。
「空無い(商い)大辞典」について、詳しくはこちら。
オーナーが管理会社を選ぶ時代。管理会社はたくさんのやるべきことをやりきる
小場三代オーナーの『カリスマ家主が体験から学んだ、失敗しない管理会社選び』は、おそらくはじめての、「オーナーから見た、管理会社の選び方」という提言でした。これまでであれば「建てた会社」「仲介を決めてくれた会社」になんとなく任せていた管理を、「オーナーが管理会社を選ぶべき」という講演は、斬新でした。講演でははっきり「敵を知らなければ戦えない」とまでおっしゃられており、大きなパラダイム転換を感じました。一方、管理会社側は、京都の長栄の『管理物件入居率95%を超える長栄流入居者向けサービスの中身』が秀逸でした。ここまでやるのかという管理の仕事の細かい徹底ぶり。外注化してコスト削減しようという時代の流れに反して、社員がひとつひとつの基本を徹底して行うということをとても大切にする姿はとても勉強になりました。
知の解放が世の中を変える
今回の賃貸フェアは、私のようなマニアにとっては、とてもうれしい講演ばかりでした。同じ時間にされている講演もあり、すべて聞くことができた人は誰もいません。しかし、全国で、そしてあらゆる階層で、「賃貸業界が大きく変わりつつある」ことを立証するフェアでした。そして、「rashikuをどんどん真似してください」という谷さん、「WEBでモクチンレシピを公開しています」というモクチン企画さん、「空き無い大辞典の中身をWEBで公開します」という市萬の西島社長。さまざまな事例やアイデア、あるいは知識が惜しみなく公開され、そして、それが全国各地に伝播していくことでしょう。
一緒に聞いていた不動産会社の社員の方が「戻ってやらなきゃいけないことが山ほどある」とおっしゃられていました。まさしく、そうなのでしょう。そして日本の賃貸住宅が進化していく。そんな大きなきっかけとなる、歴史的な2日間だったと思います。
日本の賃貸業界は変わります。わくわくしますね。