家賃の値上げのベストタイミングはいつ?


先日私たちが管理させていただいているマンションのAオーナーより、

「私は設備投資もしっかりしているし、何より毎週自分の物件の掃除をしていて、良質なサービスを入居者に提供している自負があります。ですので、更新を機に、家賃をもう少し値上げしたいと思うのですが・・・。」

とのお申出をいただきました。しかし私は「Aオーナーの場合、更新時には家賃を値上げするのはやめた方がいい」とアドバイスしました。

「え?でも、浦田さん、良質な管理を提供していれば、家賃を値上げはできるっていつも言ってますよね?」

確かに更新時に家賃をうまく値上げしている大家さんの事例はあります。しかし、値上げはあくまでも、もともと相場に満たない家賃で貸している場合に有効なのです。既に相場家賃で貸している場合には、あまり強気になれないのが現状です。

そのため、今回、Aオーナーの場合には更新のタイミングでの値上げはリスクがあると判断し、値上げは見送った方がいいとアドバイスしました。

では、どのタイミングで値上げを行えばよかったでしょうか。

今回は家賃の値上げのベストタイミングについて考えてみましょう。

家賃はそもそも値上げしてもいい?


Aオーナーは日頃からご自身でまめに掃除したり、設備を新しくしたりとマンションの付加価値を高めることに努力されるオーナーです。
入居者の要望にも私たちの管理会社を通して迅速に対応していたので、家賃を値上げすることもその努力に見合ったものだと考えておられました。

もし部屋の付加価値をさらにあげることができ、入居者を満足させることができれば家賃を値上げしてもよいと思います。お部屋はあなたが入居者へ提供している「商品」です。ですから、お部屋の価値に見合った家賃を当然入居者へ請求できるのです。

ただし、家賃を値上げする場合にはリスクとタイミングについてよく理解し検討しておく必要があります。

家賃値上げに伴うリスクとは?


家賃値上げに伴うリスクとは、更新時に入居者が値上げを嫌い、転居してしまう恐れがあることです。

もし空室になってしまったら、本来入居者から得られていたはずの収入がなくなってしまいます。

仮に11月1日更新の場合を考えてみましょう。Aオーナーのお部屋は一室あたりの家賃は約18万円です。今回家賃の希望値上げ額は3,000円でした。

仮に入居者が更新を希望しなかった場合、お部屋が空いてしまうことになります。10月末に退去した場合、最短でリフォームが完了したとしても、募集を開始できるのは10月中旬以降になるはずです。

仮に1ヵ月後に入居者が決まり、12月1日より入居するとしましょう。(募集条件は礼金1ヶ月、敷金2ヶ月、募集会社へ広告料1ヶ月)

値上げすることなく、更新が行なわれていた場合のオーナー収益は、更新料・家賃(10月~12月分)をいれると約70万円になります。

次に、入退居があった場合のオーナー収益は、広告費を1か月分支払うので、わずか18万円の収入にしかなりません。

その差額はなんと、52万円。

言い換えると、わずか3ヶ月のうちに約50万円もの損失を出してしまったことになるのです。
確かに、今回は毎月3,000円の値上げには成功できています。でも、50万円もの機会損失を取り戻すには、単純に考えて、なんと約160ヶ月もの時間がかかってしまいます。

家賃は値上げすることはできないの?


では家賃を値上げすることはどのような場合でもできないものでしょうか?

いいえ、結論から言うと100%できないわけではないのです。今回はたまたま家賃値上げに適していなかったケースをご紹介しました。

次回、更新時にリスクなく家賃を上げやすいケースについて解説したいと思います。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。