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住宅金融支援機構 新制度が導入されました

住宅金融支援機構の賃貸住宅融資で、「繰上返済制限制度」が導入されました。事業企画にも重要な影響がありますので、今回はこの新制度について、詳しく解説したいと思います。

浦田 健

執筆者:浦田 健

アパート・マンション経営ガイド

繰上返済制限制度の特徴とは?
いよいよ2008年も終わりですが、今年は皆さんにとって、どのような年でしたでしょうか。今年はなんといっても、サブプライムショックに端を発した未曾有の経済不安が記憶に新しいですが、もしかすると新たな時代の転換点になるかも知れませんね。

さて、話は変わりますが、以前からお伝えしておりました住宅金融支援機構の融資制度で、一つ面白い動きがありました。平成20年10月27日から、賃貸住宅融資について「繰上返済制限制度」が導入されたのです。

この「繰上返済制限制度」、適用を選択すると一定期間は繰上返済が制限されることになりますが、その分、若干の金利優遇を受けることができます。

従来は「35年固定」と「15年固定」の2つしか選択できなかった金利種別に、新たなラインナップが加わったことで、借主としても、より個別の事業計画に適した金利種別を選択できるようになります。

事業計画の企画にも重要な影響がある内容ですので、今回はこの「繰上返済制限制度」について、詳しく解説したいと思います。

住宅金融支援機構の「繰上返済制限制度」導入について


まずはじめに基本的なおさらいから入りましょう。そもそも「繰上返済」を行う際、金融機関との契約条件によって「違約金」が課されることがあります。

たとえば、10年固定金利で借入をしていた場合に、10年の固定期間が満了する前に、借入金の一部・もしくは全部を繰上げて返済する場合などには繰上返済に関する違約金が発生します。

ところが、以前の記事でもお伝えしたとおり、住宅金融支援機構を利用した場合、固定期間内に繰上返済をしても、原則として違約金は発生しません。これが機構融資を使うメリットの一つです。

さて、ここで話を機構の「繰上返済制限制度」に戻します。今般「繰上返済制限制度」が導入されたことにより、借主が機構融資を申し込む際、借入申込時に「(1)繰上返済の制限がない現行制度」と「(2)繰上返済制限制度」のいずれかを選択することになります。

(1)「繰上返済の制限がない現行制度」
住宅金融支援機構の原則的な取扱いです。前述のとおり、繰上返済を行ってもに違約金が発生しないため、繰上返済を積極的に行いたいと考えているオーナーさんにとっては非常にメリットがあります。

(2)繰上返済制限制度
これに対し「繰上返済制限制度」を選択すると、制限期間内は借入金の一部又は全部の繰上返済に対して、一定の違約金が発生することになります。一方、違約金による制限が加わる代わりに、上記(1)と比べて適用金利が若干優遇されます。

面白いことに、この「繰上返済制限制度」は、対象が「賃貸住宅融資」に限られ、通常の住宅ローンへの導入は無いそうです。それでは、なぜ「繰上返済制限制度」が導入されたのでしょうか。機構の融資担当者に聞いてみました。そうすると、以下のような回答がありました。

「このところ、賃貸住宅融資において想像以上に繰上返済の事例が多くなっているようです。事案にもよるが、実際には10年を待たずに完済する人が多数いる模様です」

「住宅金融支援機構としても資金調達を長期レートで行っていることから、10年未満で返済されると、機構の運用としても非常に厳しい状況になってしまいます。そこで繰上返済制限制度を導入し、最低でも10年間は繰上返済を抑制するように改めることになりました」

「ただし、従来の制度との兼ね合いもあることから、一律に繰上返済に違約金を課すことは難しい状況です。そこで制限を課す代わりに金利を優遇するよう、新制度を導入しました。この点、低金利にて長期固定金利の融資が受けられるため、借主側にもメリットがあると思います」

あまり詳しい話までは聞けませんでしたが、やはり早期繰上返済によって住宅金融支援機構の利幅が圧迫されるケースが多かったのが主要因なのでしょう。

いずれにしても、「繰上返済制限制度」はどのような制度なのか、もっと詳しく知る必要があります。そこで、制度の概要をを次頁で解説します。
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