皆さんのマンションでは、総会出席率はどのくらいですか?
マンション標準管理規約では、「総会成立には議決権総数の半数以上を有する組合員が出席しなければならない」と成立要件を定めており、定足数を満たせなければ総会が有効に開催できなくなっています。
もし、総会が開催できないと、「管理者(理事長)は少なくとも毎年1回、総会を招集しなければならない」という区分所有法に違反するばかりか、管理組合会計上、来期の予算承認が得られなくなるため、予算が執行できなくなり、管理組合は活動停止状態に追い込まれます。予算執行の承認を得るには、総会決議が不可欠だからです。
無理もないかもしれませんが、役員経験者でさえ総会の重要性を十分に理解している人は少ない印象です。マンション管理において、総会は極めて重要なイベントであり、快適なマンションライフを維持するために欠かせない組合行事です。
にもかかわらず、総会の重要性を啓発し、出席率を高めるための努力をしてないとすれば、(失礼ながら)それは怠慢以外の何物でもありません。管理組合の空洞化はマンション管理の無関心者を増大させ、円滑な組合活動を阻害します。低い出席率は「百害あって一利なし」なのです。そのうえ、マンションの資産価値にも悪影響を及ぼします。お心当たりの管理組合は以下に紹介する方法を利用して、総会出席率を高めてほしいと思います。
区分所有法では「総会中心主義」を採用 総会は「最高意思決定機関」と心得よ!
では、どうして総会が重要なのか?―― まずは、その理由説明から始めます。ご存じ、分譲マンションは1つの建物が多くの人々に区分所有されています。建物(共用部分)は全員で共同所有し、専有部分は各人で戸別利用する居住形態が分譲マンションです。そのため、どうしても分譲マンションは複雑な権利関係にならざるを得ず、土地・建物とも所有権で、かつ、持ち主(所有権者)が1人である一戸建て住宅とは異なる管理の難しさを内包します。
加えて、小さい分譲マンションでは数十名、大規模になると1000名以上の居住者が同じ屋根の下で共同生活することになるため、当然のように利害対立が生じます。多様な価値観を持つ人が同じマンションに住むわけですから、区分所有者全員の意思決定は容易ではありません。合意形成のための手法(ルール)が求められます。
そこで、誕生したのが区分所有法です。昭和37年(1962年)、分譲マンションをめぐる法律関係の基本ルールとなるよう、51年前に制定されました。
同法には区分所有の法律関係に関する規定を中心に、管理組合の運営をつかさどる総会についても厳格な規定が盛り込まれています。「総会中心主義」を採用し、管理に関する重要事項のすべてを総会で決定するという考え方を取り入れています。
続いて、次ページでは代理人による出席方法をご紹介します。