行列必至、ランチは3種類の親子丼
行列から解放され、店内へと入ると……ここでも行列が……。靴を脱いで係の方に渡し靴の番号札をもらいます。「こちらでお待ちください」「先にご注文をお願いします」などと声をかけてくれるのが、下足番と行列整理・誘導を行う専門のスタッフです。“行列を前提”としたスタイル、人員配置ですね。店内では廊下の左側に並びますが、順番に右側にある会計場所で、注文をしてこの時点で支払いを行います。お昼のメニューは3種類。「元祖親子丼」(1500円)、「白レバ親子丼」(1800円)、「匠親子丼~炙りささみ入り~」(1800円)です。この日は、知人とともに元祖親子丼をオーダー。間もなく席へと通されましたがランチタイムは基本、相席です。掘りごたつのテーブルに案内され、向かいで食事中のおばさま2人組に軽く会釈をして、知人と横並びで腰を落ち着けます。
最初に鶏のスープが運ばれます。こちらを飲みながら待つと、いよいよ親子丼の登場です。蓋をされた状態での器提供……期待が高まりますね。その姿は鮮やかかつ、濃いめの黄色。上部はトロトロした半生の玉子で、下部は少し火の通った玉子でしょうか。食感、舌触りもいいですね。スイスイと食べ進められます。
客層はさまざまですが、日本中、時には外国の方も見受けられる同店。東京の観光地の1つ、そんな印象も「玉ひで」ならではでしょうか。ちなみに食後は、入口とは反対側の違う扉から玄関へ出ることになります。
250年超えの歴史、“発祥の店”でいただく贅
玉ひでは、“親子丼発祥の店”としても有名です。5代目秀吉さんの妻、山田とくさんが、肉と割下を卵でとじる親子煮を、ご飯の上にのせる一品料理を考案。当初は出前として売り出されたのが今の“親子丼”の始まりです。老舗店は世にたくさんありますが、“発祥の店”は1つです(諸説あるケースもありますが……)。個人的に、発祥の店巡りなどもしていますが、同店は“それに相応しい”風格を所持する店ですね。
別日に伺った際には、「匠親子丼~炙りささみ入り~」(1800円)を頼んでみました。ゴロっとした大きな肉が入ったこちらは、腹持ちも良さそうです。白レバ親子丼もいただいたことがありますが、入る肉の違いだけで、ベースとなる部分は一緒のようです。
“行列”、そして“相席”がほぼ前提となる同店。相席は結構距離が近いので、大事なお客様や恋人同士などで行く際は、少し心構えが必要かも知れません。どうしても行列・相席を避けたい際は、「コース料理(3900円~5800円)を予約すること」で、ゆったりとしたランチタイムを過ごせます。
あとは裏ワザではないですが、同店のランチは13時までに並んだ人が対象となります。13時ギリギリに行くと、後ろに客がいないことから、少しばかり人がまばらな空間で食事ができるかと思います。
それにしても250年超え……そして、親子丼を生み出した店。歴史や物語に敬意を払いたくなります。
江戸中期、葛飾北斎の生誕と同じ年にスタートした軍鶏料理店で、ランチはいかがでしょうか?
■玉ひで
・住所:東京都中央区日本橋人形町1-17-10
・TEL:03-3668-7651
・営業時間:
11:30~13:00(13時までにご来店したお客様で終了、コース料理は14時まで)、17:00~22:00(土日祝は16:00~21:00)
・定休日:無休(夏季、年末年始の臨時休あり)
・地図:Yahoo! 地図情報
※上記すべて取材時(2013年7月)の情報・価格です。