言わずと知れた日本橋の洋食店「たいめいけん」

正午前後には行列ができる同店店頭

正午前後には行列ができる同店店頭

橋を挟んだ両サイドに、老舗百貨店「三越本店」、「日本橋高島屋」が堂々と鎮座するお江戸・日本橋。日本橋高島屋サイドの再開発で生まれたコレド日本橋のそばに、言わずと知れた洋食店「たいめいけん」があります。もはや町の一軒のお店、というたたずまいではないですね。ドーンと大きな看板が目に飛び込む洋食のデパート的な存在です。

昼時のたいめいけんでは、周辺のビジネスマンとともに、百貨店での買い物途中のご婦人や、いかにも常連風の面々、食べ歩きや大きな荷物を持った観光で訪れている(であろう)方々など、さまざまな人たちが見受けらます。まぁ、東京の観光名所になり得る一店でしょう。

創業は1885年(明治18年)

2011年に現橋架橋100周年を迎えた日本橋

2011年に現橋の架橋100周年を迎えた日本橋

現在3代目の茂出木浩司さんが切り盛りする同店。初代である茂出木心護さんが京橋の西支御料理処「泰明軒(たいめいけん)」に修行として入ったことが同店のルーツです。 現在のたいめいけんのパンフレットやホームページなどに多く記載される創業年は、初代が独立した1931年(昭和6年)ですが、老舗店の屋号に敬意を払い、こちらの連載では泰明軒の創業年である1885年(明治18年)をベースにご案内します。

さて、その1885年とはどんな年だったのか……。当時はまだ目新しかった洋食。泰明軒では、西洋料理だけでなく、中華料理も提供していたといいます。先見性を感じます。

この年、日本鉄道・品川線(山手線の前身)が開通し、内藤新宿駅(現新宿駅)、渋谷駅などが開業。日本を代表するターミナル駅誕生の年ですね。ケータイ、スマートフォンなど、通信ハイテク機器隆盛の現在ですが、初めて電話機が輸入されたのもこの年のことです。世界に目を向けると、ドイツではベンツがガソリン自動車を発明。今をときめく産業、クルマやITの萌芽……そんな時代背景の中、たいめいけんもその歩みを始めています。

では、作家・池波正太郎など多くの食通を唸らせた洋食店へと参りましょう