投資信託/NISA(日本版ISA)とは?その活用法

NISA向きと発売されるバランスファンドが最善なのか?(2ページ目)

証券業界は、NISAのビジネスチャンスとして新しい商品の開発に余念がありません。しかし、万人向けのNISA商品などあるはずがありません。セールストークをうのみにしないで、自分に最適なルートを発見して、マイウエイを歩んでください。

北川 邦弘

執筆者:北川 邦弘

はじめての資産運用ガイド

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自動リバランス機能付きなら、売る必要なし

たとえば、次のような投資信託が2013年になってから、設定されています。

・国際投資信託顧問のトレンド・アロケーション・オープン
市場の転換点を捉えてハイパフォーマンスを狙うことや、下落リスクを制御するために資金をマーケットから引き上げることも、適切に実行してくれるそうです。

・大和証券投資信託委託のスマート・ミックス・Dガード
7資産(先進国国債、先進国株式、新興国国債、新興国株式、超長期米国国債、米ドル建ハイイールド債券、商品)に分散投資しますが、全体の組入比率を下げて下落を抑制する戦略を取ることがあるそうです。

・野村アセットマネジメントのネクストコア
こちらも上記と同様です。リスク水準を一定範囲内程度に抑えつつ効率的に収益を獲得するために資産配分・通貨配分比率を決定するとうたっています。

以上は、バランスファンドと呼ばれる投資信託です。内外の株式、債券、リート(不動産投信)に分散投資をしていきます。いずれのファンドにも共通しているのは、自動リバランス機能が付いているという点です。まさにそこがNISA向けというワケです。

構造を説明すると、複数のファンドの組合せでひとつのファンドに見せています(専門的にはファミリーファンド方式といいます)。その内部(マザーファンド)の組合せ比率を変えることでリバランスになります。

しかも、資産配分(アセットアロケーション)はすべて運用会社が決定して、そのリバランスも修正も運用会社の判断により適宜、実施することができるという点が特徴的です。ですから、私たち投資家が売る必要などないのです。5年の間に所得も発生しません。したがいまして、非課税枠は、5年後という最後の出口まで未使用のまま温存できるのです。

しかし、こうした自動リバランス機能付きのバランスファンドが、「NISA向き」とレッテルを貼られて販売促進されることに、若干の違和感を感じることも事実です。

NISA向けという言い切れるのか?

すべてを任せておけばうまくいくというのは、本当でしょうか?

どこまでを運用会社に委ねて良いのか? という疑問がなくはありません。具体的には、次のような疑問です。

  1. 将来的に魅力的な資産が何かを運用会社が見誤る可能性はないのか?
  2. 配分比率を変えるタイミングを運用会社が見誤る可能性はないのか?
  3. 資産ごとの投資先である素材としてのファンド(マザーファンド)は優秀なのか?

NISAに相性が良いと思わせる投資信託を、今後も各運用会社が商品として開発してくることが予想されます。が、絶対的な有利不利と断定しがたいのが投資の世界です。どちらかというと損失に敏感な人向けの投資信託といった方が正確ではないでしょうか?

ファイナンシャルDr.からの提案は?

もっともシンプルな方法は、優秀な成績を挙げている投資信託を自分で組み合わせること

もっともシンプルな方法は、優秀な成績を挙げている投資信託を自分で組み合わせること

私は、こうしたパッケージ商品の代わりに、次のような選択肢も残されていることを最後にお伝えして記事を終えたいと思います。

もっともシンプルな方法は、優秀な成績を挙げている投資信託を自分で組み合わせること。

投資期間が10年超である人なら、内外の株式に100%投資してしまうこと(債券やリートは不要かもしれない)。

リバランスの代わりに、一括購入を避けて毎月つみたて型購入を続けること。

そして資産配分の変更は、売りを使わずに、毎月購入の購入内訳の修正で対応すること。

セールストークをうのみにしないで、いろいろな選択肢の中から最適解を探すことを心がけてください。

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