貴重なV10エンジンをおいしく手に入れるチャンス
気づけばこんなに値落ちしていて「おいしい!」という中古車をご紹介しているこの企画。今回はアウディS6(旧型)をご紹介したいと思います。「ラグジュアリークラスのスポーツモデル」とメーカーが謳うように、ガチなスポーツモデルではないことは、縦ラインが入ったフロントグリル程度でA6とさほど変わらない外観からもうかがえます
デビューは2006年7月。A6のボディに、1つ上のクラスであるS8と同じ5.2LのV10エンジンを搭載しています。ただしS8が最高出力450psなのに対し、こちらは435psに抑えるなど、多少の差が付けられています。
もともとこのエンジンは、同じグループのランボルギーニガヤルドのV10がベースです。それをS8やS6用に仕立てたエンジンで、ガヤルドのエンジンがスポーツカーに振ったV10であるのに対し、こちらはグランドツーリング仕様と言えるでしょう。
ちょうどこの頃は、BMWのM5やポルシェカレラGTがV10を搭載するなど、ちょっとしたV10ブームでした。ちなみにF1では、S6のデビュー直前の2000年~2005年までレギュレーションによりV10が採用されていました。
2006年からF1はV8に切り替わり、また現行のS6もV8になるなど、今から見ると、まるで「夏草やつわものどもがゆめのあと」的なV10です。今やポルシェまでHVモデルを用意する時代へと変わってしまいましたし……。
ステーションワゴンであるアバントには専用のリアスポイラーがちょこんと付きます。足元は19インチアルミホイールに265/35タイヤが組み合わされています
そう考えると、とても貴重なV10です。先述のようにガヤルド、M5、S8、さらにS6の上であるRS6など、そうそうたるメンツがV10を採用していたのです。
その中にあって、中古車でお手頃になってきたV10がS6というわけ。原稿執筆時点での最安値は438万円。2007年式/2.6万km/修復歴なし。新車時価格は1258万円ですから、約1/3の価格で狙えます。
V12とも違う独特のエンジン音を響かせるV10にはファンもいるのですが、もちろんS6の魅力はそれだけではありません。次ページ以降で詳しく見ていきましょう。