2.周囲に流されない
人に流されないことが大切です
中には自分の価値観のみを一方的に発言する職員がいます。一見まともな事を言っているようで、実は職場の批判がテーマになってしまっているシーンがあります。「上司がしっかりすべき」「誰かが指示すべき」「人が足りないから」と並べ立てます。よくよく聞いていると、その言葉のどこにも「自分はどうすべきだった」という、職場の構成員としての発言が出てこないのです。そのような人に限って具体策はなく、表面的な事象への不平不満で事を流してしまいます。
残念なのは、そのような一部の意見に染まってしまい、もっと良い職場があると思い込み退職する人がいることです。もっと良い職場の定義が不明確なままの転職は、結果的に転職の連鎖へと繋がっていくのです。
一方仕事を続けることができている人は、意見を聞く姿勢は見せても共感をしている訳ではないので流されることはありません。要は自分なりの考えを持ち、自分は何を目指しているかが明確な人です。
先の前職を退職した主な理由の2位に、法人等の運営方針への不満が挙がっていました。中には根本的に問題となる法人もあるのでしょうが、自分も法人の理念や方向性を理解しようとする努力も必要です。入職後1年未満で退職される方には、それを読み取り理解する時間としては少なすぎるようにも思います。
今や事業所の多くが、質の良い介護を提供すべく人材の確保に力を注いでいます。このことから、運営方針が粗悪なのではなく、運営方針を現場職員に伝えきれていない事業所が多いということです。伝えきれてない事業所には早々に鋭意努力をして欲しいのですが、同じく事業所に所属した職員に望みたいのは、理解し読み取ってみようとする意識と根気を持つことです。自分事として、少し長い目で所属した事業所の良い点や改善すべき点を捉えようとすると、所属した職場でも十分に自分の目指している目標が達成できる事に気が付かれるかもしれません。
3.体力にあった雇用形態・雇用条件を選ぶ
志があっても「体力がついていかない」「自信を無くしてしまった」と迷惑をかけることを理由に退職を選択される方がいます。その多くは人生経験が豊富で高齢者の気持ちを察することができる人々ですが、初めての介護経験に加え、出勤時間の違うシフト制や慣れない夜勤で思うように体調をコントロールできず諦めてしまわれます。体力に自信がないときは最初から無理せず、まずは日勤の時間帯からスタートし慣れてから夜勤を行っていくなど就職面談時に相談されると良いでしょう。これはわがままでも甘えでもありません。自信がついてから正社員を希望する、年齢的には仕事とプライベートの両者を充実させたくパートで頑張りたいなど、これも立派なキャリアプランです。これらのように、すぐに退職を考える人と、自分をしっかり持ち、主体的に仕事へ臨もうとしている人との違いは明らかです。自分が思い描く介護職を目指す第一歩として、所属した職場でしっかりと学びを得てから、自他ともに認めるキャリアアップに値する転職を行って欲しいと願います。転職が容易な業界であっても、人の縁を大切に捉えようとする観点は、介護経験の有無に限らず、各々が持つ人間力にも通じます。