非常にモダンな“スポーツハッチカー”
車名を聞いて、すわ、あの名車205GTiの復活、なんて思ってしまったのはどうやらボクのハヤトチリだったようである。漫画『ストップ!! ひばりくん!』の江口寿史なんかが出てきちゃったし、てっきり80年代のあの栄光よもう一度! 的なホットハッチモデルを期待していたら、あっさり裏切られてしまった。良い意味でも悪い意味でも。
悪い意味、というか、ガッカリしたけどそりゃそうだよな、と思わざるをえなかったことを先に言うと、新しいGTiは、昔の205にはあった、どこかエキセントリックでスリルのある過激な楽しさとは、無縁であったということ。
そりゃそうだろう。スーパーカーだってスリルを失って久しい今の時代に、いくらホットハッチだからといっても、昔のような「山椒は小粒でぴりりと辛い」的な走りを期待する方がおかしい。
ひとことでいうと、非常にモダンでスポーツハッチカー、である。
だから、良い意味の方はといえば、その裏返しで、誰もが楽しめるスポーツカーになっていた、ということ。RCZと同じパワートレインはあくまでも扱いやすく、軽い車体とあいまって、実質の速さとともに、マニュアルミッションの操作にもある程度の鷹揚さを認めてくれる。ズボラに運転したって、速い。