- 中古住宅リフォームに潜む失敗とは?
- 中古リフォームの後悔1:暑い、寒い、結露がひどい!
- 中古リフォーム失敗の原因1:住宅性能の見極め不足!
- 中古リフォームの対策1:性能向上リフォーム費用は築年数でチェック!
- 中古リフォームの後悔2:浅築の中古住宅で設備も新しかったのに失敗!
- 中古リフォーム失敗の原因2:無人の期間が長い家は傷みが早い
- 中古リフォームの対策2:これまでの住み方、管理方法をチェック!
- 中古リフォームの後悔3:10年後に1000万円の差がついて失敗
- 中古リフォーム失敗の原因3:定期的なメンテナンスをしていない家は後で費用が掛かる
- 中古リフォーム対策3:メンテナンス履歴を確認し、住宅診断を受ける
- 土地によっては建て替えできないケースも、事前に専門家の診断を
中古住宅リフォームに潜む失敗とは?我慢しながら住み続けるケースも
人気の中古住宅リフォームだが意外な失敗や後悔の声も。仕方なくガマンして住み続けているケースも。
中古住宅は新築に比べて、立地条件や広さの割りに値段が手ごろですから、自分好みにリフォームやリノベーションをすれば、ハード面でもソフト面でも満足度の高い家づくりができます。
しかし中古住宅リフォームには意外な落とし穴が潜んでいることがあり、比較的新しいにもかかわらず予想外に傷んでいて新築以上の費用が掛かってしまった、構造などの制約から思ったようにリフォームができず我慢して住み続けている、中には10年後に大変な目にあったという後悔の声を聞くことがあります。
今回はガイドが実際に見てきた経験者の生の声をご紹介!実際にあった失敗事例から、どんな中古住宅が失敗しやすいのか、そして成功のために押さえておきたいポイントをご紹介します。
中古リフォームの後悔1:暑い、寒い、結露がひどい!
快適に暮らすためには断熱性や耐震性など「家の基本性能」が大切。結露は断熱性の低さが原因。
築25年の中古の一戸建て住宅を購入したAさんは、壁紙とフローリングの張替え、水回りの交換リフォームを行い入居しました。しかし住んで少し経った頃から様々な問題が出始めました。
まず冬にとても寒く、暖房費が想像以上にかさんでしまいました。特にマンション住まいから、古い一戸建てに引っ越したため寒くていられず、どこからともなくスキマ風が吹いてきて、いくら暖房しても冷えるので光熱費はうなぎ登りに。
また窓には結露がびっしょりで、毎日雑巾で結露をふき取ってはいますが大変です。壁面もしっとり濡れたようになっていて、壁紙の継ぎ目にうっすらカビが生えてしまいました。この状況では夏はどうなるんだろうと不安になり、この家でよかったのかと後悔がわいてきました。
中古リフォーム失敗の原因1:住宅性能の見極め不足!改善には多額のリフォーム費用が
中古住宅の購入の際には性能向上のためのリフォーム費用を忘れずに予算に入れておこう。
築年数が古い家でも、内装や設備機器が新しくオシャレにリフォームされていれば、一見いい家に見えます。しかし見た目がいいからといって快適に暮らせるとは限りません。
このような状況に陥るのは、家の基本性能が低いことが原因です。築年数が古い家は、断熱や耐震、換気といった基本の性能が、昔の基準で建てられているため、快適に安全に暮らすためには性能向上のリフォームが欠かせません。
しかしこれらのリフォームには高額な費用が掛かり、またリフォームしても見た目があまり変わらないため後回しにされがちです。性能向上リフォームの真価は、実際に住んでみないと分からないことが多く、後から気付いて、結局我慢して住み続けることになってしまうのです。
中古リフォーム対策1:リノベ済物件の注意点。性能向上リフォーム費用は築年数でチェック!
中古住宅を購入してリフォームをする際は、断熱や耐震、換気システムなど、家の基本性能をよく確認することが肝心です。そしてそれらの性能向上のためのリフォーム費用を忘れずに予算取りしておきましょう。リフォームの費用は、築年数からおおよそを知ることができます。
性能確認の鍵となるのは、1981年、1999年、2003年です。1981年で耐震性能、1999年で快適の基準とされる断熱性能の新しい基準ができ、2003年には新築住宅に24時間換気システムの設置が義務付けられました。
つまりそれより古い年に建てられた住宅はそれぞれの性能が低い可能性がありますので、快適な家にするためには、性能向上のためのリフォームを忘れずに加えておく必要があります。
具体的には、1981年より古い家は耐震リフォームを、1999年より古い家は窓ガラスを複層ガラスにしたり屋根裏や床下に断熱材を入れたりする断熱リフォームを、2003年より古い家は24時間換気システムを取り付けるリフォームをしておきましょう。
断熱の基準は省エネルギー基準と呼ばれていて、現在も刷新し続けています。しかしこの基準は今のところ義務ではないため、新しい家でも基準を満たしていない可能性があります。
断熱リフォームの費用の目安は、断熱が全くされていない家を、1999年の基準に沿った性能へ向上させるためには、延床面積30坪程度でおおよろ300万円ほどになります。
ただし断熱の基準は地域によって異なり、住んでいる地域と現在の性能のレベルによってリフォームの範囲と費用が変わりますので、事前に見積もりを取ることをお勧めします。
このような住宅性能を正確に知るためには、購入時に専門家によるインスペクションと呼ばれる住宅診断を受けるとよいでしょう。中古住宅市場の活性化に伴って、平成30年4月には宅建業者に対し中古住宅売買時にインスペクション実施に対する説明の義務化がされるなど法律の整備が進んでいます。
インスペクションの費用は、劣化などを診断する基本的なコースで5万円程度から、性能を知りたい場合は詳細なオプションをつけて15万円程度からが目安です。
注意したいのがリノベーション済み物件です。自分でリフォームしないで済むので、手軽で人気がありますが、見た目が美しくても性能向上がされていなければ、快適性は建てた当初のままです。購入前には必ずリノベーションの内容を詳細に確認することを忘れないようにしましょう。
中古リフォームの後悔2:設備も新しい浅築の中古住宅なのにカビや腐食が!
浅築の中古住宅でも痛みがひどいケースもある。無人の家は傷みが進みやすいので要注意。今まで管理方法をよく確認して。
築年数が浅い、比較的新しい中古住宅だから安心していたのに、失敗してしまったケースもあります。Bさんが購入したのは築15年ほどの中古の一戸建て住宅で、まだまだ新しく設備もピカピカでした。
築15年なら省エネ性能も高い可能性が高く、耐震性能も現在の基準に沿っています。よい買い物をしたと最初は喜んでいたのですが、1年ほどでカビ臭くなり、よく見たら壁紙の継ぎ目が黒ずんでいて、はがしてみると裏側が真っ黒になっていました。
ほどなくしてキッチンの床がきしむようになり、調べてもらったところ、各所にカビが発生し、キッチンの床の一部が腐食していました。仕方なくリフォームをすることになり、予定外のリフォーム費用が追加になってしまいました。
中古リフォーム失敗の原因2:無人の期間が長い家は傷みが早い
これは無人の期間が長く、風通しをしていなかった家で見られる現象です。よく「人が住んでいない家は傷みやすい」と言いますが、これは風通しなど日々のメンテナンスが不十分だと、結露やカビが発生しやすくなり、傷みが早く進むからです。中には、結露で腐食し、浅築の家だったにもかかわらず、壁や床の下地までリフォームが必要になったケースがあります。もちろん無人でも、24時間換気を行い、マメに風通しやメンテナンスをしていた家なら安心です。
中古リフォーム対策2:これまでの住み方、管理方法をチェック!
中古住宅の購入前には、後から追加費用が出ないよう、その家がそれまでどのような住み方をされていたのかよく確認しておきましょう。無人の場合は売り出し後の管理方法と期間も確認することが肝心です。中古リフォームの後悔3:10年後に1000万円のメンテナンス費用が……
家は建った瞬間から経年劣化が始まっています。家を健康に保ち続けるためには定期的なメンテナンスが必要です。
Cさんは築18年の中古住宅を購入、内装リフォームをして住んでいたのですが、その後10年ほどして水まわりのリフォームをしようと詳しく点検したところ、それまでまったくメンテナンスをしていなかったせいで、白アリの被害と雨漏りによる腐食が進んでいることがわかりました。
そこで水まわりリフォームの費用に加えて、それらの補修費用と現在必要なメンテナンス費用の見積もりを取ったところ、1000万円ほどが必要になることがわかりました。結局、予算削減のために気に入ったキッチンを入れることはできず、予算のほとんどを補修にあてることになってしまいました。
中古リフォーム失敗の原因3:定期的なメンテナンスをしていない家は後で費用が掛かる
家には定期的なメンテナンスが必要になる。事前に費用の枠を取っておくことが大切。
家は定期的なメンテナンスが必要です。特に屋根、外壁、床下などの構造部分は、使われている材料にもよりますが、基本は10年おきに補修やメンテナンスが必要になります。
これらに掛かるリフォーム費用の目安は、築10年目で100万円~200万円、築20年目で設備の交換などを含めて500万円~ほどになります。
中でも注意をしたいのが屋根、床下、シロアリ駆除、外壁塗装です。これらのメンテナンスは家の構造部分を守るために大切なものであり、腐食や被害が進むと補修費用がかさみます。
つまり同じ築年数であっても、メンテナンス済みの家ならこの先も長くリフォームしないで大丈夫ですが、メンテナンスをしていない家の場合はすぐにリフォームが必要になったり、先々の補修費用が高くついてしまうことがあるのです。
中古リフォーム対策3:メンテナンス履歴を確認し、住宅診断を受ける
塗装して一見キレイに見える屋根でも、内部の腐食が進んでいることも。住宅診断を受けておけば安心。
構造部分は外から見るだけでは劣化状況が分かりにくい場所のため、見逃しがちです。見かけがキレイだからと言って、性能を保持しているとは限りません。建物の大事な部分は見えないところに集中しています。
中古住宅購入の際には、まずはこれまでのメンテナンス履歴をよく確認し、インスペクション、住宅診断を受けましょう。そうすることで劣化状況が確認でき、今後のメンテナンス計画を立てることができます。中古住宅購入の際には、このような行動をとることで、10年後に大きな差を付けることになります。
土地によっては建て替えできないケースも、事前に専門家の診断を
中古住宅の中には、構造上間取りの変更がしにくいもの、また法律が変わったことや土地を分割したことによって一定の基準を満たさなくなり、建て替えができない土地になってしまっているケースなどもあります。見逃しがちなのが、建てた当初は合法だったものの、後から防火地域の指定がされて、そのままでは法律違反の状態になっている家です。
このような家を既存不適格建築物と呼び、そのままでいる分にはまったく問題ありませんが、今後大きなリフォームをする際には、現在の法律に合わせてリフォームをする必要があります。その場合、防火地域の指定がされた地域では、外壁や屋根の仕上げに制限が掛かるため、その分費用がかさみます。
わからないこと、不安なことがあったら専門家に相談し、後悔の無いようじっくり検討しましょう。自分でできる外壁や基礎のチェック方法など、中古住宅購入リフォーム向き物件のチェックポイントは下記でご紹介しています。あわせてご覧下さい。
リフォームしやすいマンション、リフォーム費用がかさみやすいマンションなど、中古マンション購入リフォーム成功のポイントは下記でご紹介しています。
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