照明・LED/照明住宅実例

健康で快適に過ごす 高齢者施設の照明(2ページ目)

高齢者施設の照明では、健康への配慮と落ち着いて過ごせる雰囲気が重要です。今回は、三重県津市の介護老人保健施設「芹の里」のリニューアルされたデイルームご紹介します。

中島 龍興

執筆者:中島 龍興

照明ガイド

健康と光

ベッドルーム

写真5.2重のカーテンで仕切られたベッドルーム

横になった視点で照明で眩しさを感じないように配慮

写真6.ブラケットで天井を照明したベッドルーム

ベッドルームは、レースと柄の2重のカーテンで仕切られており、ホテルのような落ち着きのある雰囲気です(写真5)。壁面には、天井を間接的に照明するブラケットをとりつけて、直射の眩しさを与えないようにしています。

高齢者施設の照明では、ベッドルームであっても、ある程度明るさを出せるようにしておく必要があります。ここでは、横になった視点で光源が目に入りにくいようにダウンライトを配灯し、調光で明るさを落とせるようにしています。

 

昼光が差し込む室内

写真7.昼間は明るく活動的に

光源はすべてLEDで、ダウンライトの色温度は温白色(3500K)を選んでいます。一般的に、落ち着きを求める空間では、電球色(2700~3000K)を選ぶことが多いですが、低色温度で高照度にすると暑苦しい印象となります。


またデイルームのように昼間の利用が中心の場合は、屋外が高色温度(正午の太陽で5000~6000K程度、曇天光では8000K程度)のため、室内も色温度が高い方が自然に見えます。そのため、インテリアにもよりますが病院の待合室や高齢者施設等では3500Kが好まれる傾向があるようです。

 

京風の中庭が望める浴室

写真8.京風の中庭が望める浴室

また、高齢者施設でもグループホームのように、一日中過ごす場合は、色温度や明るさが調整できるようにしておくとよいでしょう。「昼も夜も快適に過ごすための照明術」の記事でもご紹介していますが、昼間は明るい光を浴びることで、夜は明るさを抑えることで、生体リズムが整います。健康に配慮した照明計画はより心身ともに快適な生活につながります。

リニューアル後に施設を運営される方にお話を伺ったところ、利用者同士の会話が増え和やかな雰囲気となったそうです。また、見学にいらっしゃるご家族も落ち着いたインテリアや広々とした浴室に安心して通所を決められるそうです。

※「芹の里」についての詳細は、「井上・メディカル&ケアグループ」のWebサイトをご参照下さい。

写真撮影:Hiroshi Tanigawa

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