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不動産小口化商品 その1(2ページ目)

低金利が続くなか、不動産への投資商品が注目を浴びています。J-REITやSPCを用いた各種商品が話題となっていますが、不動産投資商品の先輩格が“不動産小口化商品”です。その違いは?

執筆者:江蔵 龍

法律の整備
多くの不動産小口化商品は、バブルの崩壊により結果としては最高値で取得し、最安値で売却することになってしまいました。
元々これらの商品の多くは、規模の小さなビルなど実物不動産としての魅力に乏しいものが投資家向けに小口化されたことにより、割高な点をごまかして販売されていたので、現在、集団訴訟に持ち込まれている案件の中には、価格が10分の1以下になってしまったものがあるようです。

さらに深刻な問題として、不動産をマネジメントしている不動産会社が倒産する事態も起きました。

このように投資家に多大な被害を及ぼし社会的な問題となったため、投資家保護を目的として1995年に「不動産特定共同事業法」が施行されました。
法律では、不動産小口化商品の発売を許可制としたり、事業内容に対する情報公開(ディスクロージャー)が制度化されています。

不動産小口化商品は、証券と受益権証書という違いはあっても、話題の「不動産証券化」の先駆け的な商品ととらえられることがあります。しかし、第三者への譲渡が禁止されていたため流動性に問題があったほか、一口1億円をさらに細分化することが禁止されていた点、複数の不動産の運用が禁止されていた点、事業者との倒産隔離ができていない点など、不動産のリスクについて無防備過ぎる商品だったのです。

不動産特定共同事業法は、「複数の投資家が出資し、不動産会社などの専門家が不動産事業を行い、その運用収益を投資家に分配する」不動産共同事業を対象とし、事業を行う業者を規制するものです。

具体的には事業を許可制にし、最低資本金を1億円以上とするなどの基準を設けたことにより、過少資本の不動産会社をこの事業から排除し、大手で信用力の高い不動産業者だけが参入できるように法制化されたということです。
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