子育て/毒親・過保護・過干渉

過保護や虐待などの「ネガティブな子育て」……子どもに及ぼす影響

「ネガティブな子育て」と聞いて、どんな育児をイメージしますか? すぐに思いつくのが、 虐待、ネグレクト。実は、これと並んで、「過保護」もネガティブな子育ての1つとされています。過保護にすることが、なぜいけないのか。子どもの将来に及ぼす影響とは?

佐藤 めぐみ

執筆者:佐藤 めぐみ

子育てガイド

<目次>

過保護や虐待、ネグレクト……ネガティブな子育て

過保護や虐待などの「ネガティブな子育て」

ネガティブな子育てにも色々ある

心理学の研究レポートなどを読んでいると、よく目にするのが、「Negative Parenting」という言葉。「ペアレンティング」は、親としての在り方、子どもの育て方、などを指す言葉なので、Negative Parentingは、ネガティブな子育てのこと。

では、「ネガティブな子育て」と聞いて、どんな育児をイメージしますか?
  • 虐待
  • ネグレクト
はすぐに思いつきます。実は、これに加えて、過保護もネガティブな子育ての1つとされています。ネグレクトはかまわなすぎ、過保護はかまいすぎ。これら2つは対極にありながらも、どちらもネガティブな子育てに区分されるのです。

ネグレクトがネガティブな子育てというのは、当然なので、理解しやすいと思います。では「過保護」はどうでしょうか?ネグレクトと同類にされるほど、悪いイメージはないのではないでしょうか?

実は、この「虐待」「ネグレクト」「過保護」は、子どものいじめに大きく関係しています。
 

親の子育ての仕方が、子どものいじめと関わる⁉

イギリスの大学が、これまでに実施された70の研究をメタ分析したところ(これには2万人の子ども達のデータが含まれます)、親の子育ての仕方が、子どものいじめと関わっていることが分かってきました。

■虐待やネグレクトについて
これらの厳しい環境に置かれた子どもは、いじめる側、いじめられる側の両方になるリスクが高いことが分かりました。つまり、元いじめられっ子がいじめっ子になる、またはその逆で、負のスパイラルに入ってしまっているケースと言えます。

■過保護について
過保護の一番の悪影響は、子どもが自分力を身につけるチャンスを奪ってしまうこと、と研究者達は指摘しています。親が支えていること、しっかりと見守っていることはいじめのリスクを減らす効果がある一方、守りすぎは、逆にリスクを高めてしまうのだそうです。

子ども達は、親のサポートを必要としていますが、守りすぎはNG。イヤな思いや苦い経験、全てから遠ざけてしまうのは、子どもの自分力を弱めてしまうことにつながってしまうからです。そうするとどうなるでしょうか?その子は、子ども同士の問題にどう対処したらいいかが学べていないので、クラスなどで何か問題が発生すると、そのターゲットになりやすくなってしまうのだそうです。

*出典:学術誌 Child Abuse & Neglect (2013) 「Parenting behavior and the risk of becoming a victim and a bully/victim: A meta-analysis study.」より
 

いじめをなくすポジティブペアレンティングとは?

愛情はたっぷりと、引き締めるところはしっかりと

愛情はたっぷりと、引き締めるところはしっかりと

いじめに関わるすべてのリスクを下げるのが、「Positive Parenting=ポジティブな子育て」です。この研究でも、親が、
  • しっかりと支えること
  • 温かく包むこと
  • 明確なルールを作り、子どもにきちんと教えること
がいじめ防止につながると示唆しています。つまり、愛情はたっぷり、でも引き締めるところはしっかりと、がいじめをなくす子育て法。「いじめをなくす」と書いたのは、自分の子がいじめにあわなければOKとは言えないからです。

いじめには、必ず、いじめる側といじめられる側がいます。いじめっ子がいる限り、いじめはなくなりません。めざすは、いじめのない環境です。そして大切なのは、親一人ひとりの心がけです。

研究でも、「それぞれの親が、ポジティブペアレンティングのノウハウを、小学校入学前までの時期に取り入れることがのぞましい」としています。ポジティブペアレンティングは、いじめられない、いじめない、双方にプラスに働く子育て法。いじめをなくすために、基本に立ち返り、「温かく、しっかりと」をそれぞれの親が心がけていきたいものです。

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