毎年行われる「適格認定」
大学の奨学金の継続処置に厳格化の傾向が
「適格認定」を受けるためには、毎年1回、学生自身が「奨学金継続願」を提出しなくてはいけません。「奨学金継続願」の提出は、学校から「貸与額通知書」等を受け取った上で、学校から定められた期日までにインターネットで行います。「貸与額通知書」は、12月~1月頃、学校から配付されます。
学校は、提出された「奨学金継続願」の内容を審査して奨学金継続の可否を認定し、日本学生支援機構に報告します。日本学生支援機構は学校からの報告に基づいて取るべき「処置」を決定し、必要に応じて学校を通じてその結果を学生に通知します。
なお、「奨学金継続願」を提出しない場合は、奨学生としての資格が廃止されます。
「適格認定」の基準は?
「適格認定」でチェックされるのは次の4項目です。■人物
生活全般を通じて態度・行動が奨学生にふさわしく、奨学金の貸与には返還義務が伴うことを自覚し、かつ、将来良識ある社会人として活躍できる見込みがあること。
■健康
今後とも引き続き修学に耐えうるものと認められる健康状態であること。
■学業
おおむね標準的に修得すべき単位または科目を修得しているとともに、学修の意欲があり、確実に卒業(修了)できる見込みがあること。
■経済状況
修学を継続するため、引き続き奨学金の貸与が必要であると認められること。
日本学生支援機構の「処置」は?
学校からの報告を受けて、日本学生支援機構は「処置」を決定します。処置には、奨学生としての資格について「継続」「激励」「警告」「停止」「廃止」の5つがあります。次のような基準で分けられます。■廃止
- 留年または卒業延期の恐れがある学生
- 習得単位が皆無または極めて少ない学生
- 学業成績は廃止該当者と同程度だが、成績不振の理由が真にやむを得ないと認められ、かつ、卒業の見込みがある学生
- 停学その他の処分を受けた学生
- 卒業延期の恐れはないが、習得単位が標準の3分の1程度以下の学生
- 学業の評価内容がほかの学生に比べて著しく劣っている学生
- 仮進級となった学生
- 「警告」該当者ほどではないが、他の学生に比べて劣っている学生
- いずれにも該当せず、適格認定基準をクリアした学生
ちなみに、平成22年のそれぞれの数は次の通りです。停止・廃止が2万人超いるのには驚きです。
■廃止 9765名
■停止 1万1491名
■警告 1万1799名
■激励 3万3820名
■継続 81万9024名
合計 88万5899名
「処置」に基づいて、奨学金はどうなる?
出された処置に基づき、引き続き「奨学生」として認められた場合は4月からも奨学金を受け取ることができます。「停止」「廃止」と処置が決定した場合は、奨学金を受け取ることができなくなります。■廃止
「留年」等、奨学生としてふさわしくないとみなされた学生の奨学金は「廃止」されます。対象者へは日本学生支援機構および大学からの通知を自宅へ送付します。
■停止
4月以降の奨学金は振り込まれません。貸与を復活させるには、不足単位の取得等「停止」となった事由を解消する必要があります。
■警告・激励
奨学金の貸与は継続されますが、学業成績の向上が必要です。対象者へは日本学生支援機構および大学からの通知を自宅へ送付します。
■継続
貸与は継続されます。特に通知などはありません。
「処置」が厳格化の傾向に!
奨学金の延滞が社会問題化する中、日本学生支援機構ではこの「処置」を厳格化する傾向にあります。延滞予防という観点からも、成績不振者が継続的に奨学金を借り続けることに対してより厳しくなってきています。現に、大学の審査結果を覆して、日本学生支援機構より厳しい処置にする件数も増えています。奨学金を借りて勉強をしているという自覚がさらに求められそうです。
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